世界でバカにされる日本人
世界でバカにされる日本人
2018年8月7日
ここ数年日本では「にほんスゲー」と持ち上げるテレビ番組や雑誌の記事が大流行です。書店には日本がいかにすごいかということを強調した書籍が並んでいます。
そのようなテレビ番組や雑誌記事書籍で取り上げる「スゲー日本」には以下のようなことが並んでいます。
- 世界中の人は日本人を尊敬している
- 世界で日本でを知らない人々はいない
- 日本のトイレは世界一ハイテク
- 日本の電車は世界一時間に正確
- 日本の旅館のおもてなしは世界一
- 日本の町は世界一清潔
- 日本の食は世界一
- 日本の治安は世界一良い
- 日本の教育レベルは世界トップレベル
- 日本の職人が作るネジの正確性は世界一
こういった「日本スゲーコンテンツ」の中には、もちろん真実も含まれているわけですが、どうでもいいネタ事を大袈裟に強調したフェイクニュース的なものも少なくありません。
特にアメリカとイタリア、 イギリスで働いてきて、国連専門機関や多国籍企業で働いたことがある私からすると、かなり眉唾物なネタも少なくありません。
日本人は自国が世界の先進国で、世界中の人が日本にあこがれ、日本を尊敬し、日本を見習いたいと思っていると勝手に思い込んでいるようですが、実はそう思っているのは日本人だけです。
実際は日本というのは世界においては数ある国の中の一つに過ぎず、どちらかと言えばマイナーな国の一つです。
先進国の大卒の人であっても、大半の人は世界地図の上で日本がどこにあるかも知りません。
日本と北朝鮮は陸続きであると思い込んでいる人もかなりいます。
さらに中国と日本の見分けがつかない人の方が多いのです。
かつては世界中で 日本車や日本の電化製品などが大人気でありましたが、スマホやインターネット時代の現在、Apple がアメリカの会社だということは、スワジランドの首都ムババーネや、タタールスタン共和国の首都カザンの人でさえ知っていますが、ソニーや東芝は中国の会社だと思われています。
また日本は70年代から80年代の高度成長期をとっくにすぎてしまっており、紙の上での経済規模は世界第二位とはいっても、今やその勢いは影もなく、下り坂をどんどん下っている斜陽の先進国のひとつにすぎません。
莫大な国の借金を抱える割には国中に豪華な公共設備が立ち並び、少子高齢化は悪化の一方でありますが、政府はそれといった対策をとることができず、北朝鮮問題では拉致被害者のことは何十年も放置したまま、アメリカのコバンザメのように後ろをついて歩き、アメリカと中国にお金をむしり取られるだけで、口では勇ましいことを言っていますがリーダーシップも何もありません。
そんな日本は今や北米や欧州の国際ニュースで取り上げられることもほとんどなく、 新聞に登場する日本のネタというのはラブドールが精巧すぎるとか、駅に黒酢を立ちのみするスタンドがあるといった三面記事の世界おどろきニュースの常連です。
日本というのは他の国から見た場合、ネス湖のネッシーとかニューメキシコに現れる宇宙人に誘拐された人という立ち位置です。恐ろしく嫌われているわけでもありませんが、真面目に相手にされるわけでもなく、焼きそばの添え物である紅しょうがのような立場であると言えるでしょう。
自分が直面する問題すら解決できないのに、国内では「日本スゲー」コンテンツを消費しまくっている日本人は世界中でおマヌケな国民と馬鹿にされ、弱者をきちっと保護することもできず、適切な少子化対策さえ実行できない大バカと差別される立場です。
しかしこういう状況は日本にいるとなかなか分かりにくいのが現状です。
本書においては、欧州と日本を往復して暮らし、様々な国の人と働いてきた私の経験を元に、日本の読者の皆さんが今まで知ることがなかった「世界でバカにされている日本人の現状を紹介し、「日本スゲー」コンテンツに浸って現実から目をそらしている平和ボケした日本人に新しい警鐘を鳴らし、混迷の時代を世界視野で生き抜くための視点・生き方を提示します。