三菱重工が世界最大の洋上風力発電機

三菱重工が世界最大の洋上風力発電

 三菱重工業や独シーメンスなどは世界最大となる出力1万キロワット超の洋上風力発電機を実用化する。世界で洋上風力の電力買い取り価格がここ数年で3分の1に下落する中、超大型化で建設コストを引き下げる。再生エネルギーの需要が大きい欧州市場などを想定。超大型化によって、洋上風力の普及が進みそうだ。

 世界の洋上風力発電の合計発電能力は約1900万キロワット。太陽光発電の約5%、陸上風力の約3%にとどまるが、超大型化によって採算が改善すれば、世界で導入が加速すると期待されている。
 風力発電機は風を受ける風車を大きくするほど多くの電力を得られる。大型化で1基当たりの発電能力が高まれば、設置台数が減って建設コストが下がる。例えば、30万キロワットの洋上風力発電を建設する場合、1基当たりの最大出力が6000キロワットから1万キロワットになれば、設置数は50基から30基に減り、建設コストを4割減らせて採算を改善できる。
 三菱重工とヴェスタス(デンマーク)の合弁で、洋上風力発電機で世界2位のMHIヴェスタスが出力1万キロワット級を開発し、2020年メドに実用化する。17年に世界最大の出力9500キロワット機を開発、すでに約260万キロワット分を受注している。
 米ゼネラル・エレクトリック(GE)は4億ドル(約440億円)を投じ、1万2000キロワット機の開発を進め、21年にも販売を開始する。同首位のシーメンスとスペイン大手ガメサの合弁会社は、24~25年までに出力1万キロワット超の次世代機を開発する方針を明らかにしている。
 洋上風力の大型化が進む背景には、電力の買い取り価格の下落がある。数年前までは1メガ(メガは100万)ワット時当たり150ユーロ前後だったのが3分の1に下がった。価格下落に対応するため、これまでも大型化が進んでいる。最大能力は13年の3000キロワットから17年には9000キロワット前後と4年で3倍に増えた。