個人投資家1.3万人調査 負け組はハイレバレッジ好き

個人投資家1.3万人調査 負け組はハイレバレッジ好き 2018年個人投資家調査


(イラスト:タニグチコウイチ)
日経マネー

 日経マネーが毎年実施している「個人投資家調査」。12回目となる2018年は1万3137人が回答、そのうち金融資産が1億円を超えている人は547人にのぼった。運用成績が良かった人と悪かった人の違いや、勝ち組の主な投資スタイルを5回にわたって紹介していこう。
■勝ってる人は先進国株投信の保有者が多い
 投資で勝つ人と勝てない人の間にはどのような違いがあるのか。本調査から、人物像や運用法の違いを明らかにしていこう。ここでは、過去3年間のリスク資産全体の運用成績(株式だけでなく、為替や不動産なども含めたトータルの成績)に着目して分析した。具体的には2015年~17年のリスク資産の運用成績が3年連続5%以上だった人を「勝ってる人」、3年連続マイナスだった人を「勝てない人」として、両者の違いを分析している(リスク資産への投資歴が3年以上ある7602人中、「勝ってる人」は1921人、「勝てない人」は475人)。
 まず人物像を見ると、勝ってる人も勝てない人も平均年齢は40代で大きな差はない。年収については、勝ってる人は500万~600万円が最も多く、100万~300万円が中心だった勝てない人を上回った。また、勝ってる人の職業は、経営者や専門職の比率が相対的に高かった。やはり、安定した収入があるほど、運用にも余裕ができて、成績がアップしやすいのかもしれない。
 運用面の違いはどうか。保有資産を見ると、両者とも日本株が8~9割と断トツで多いのは同じだが、それ以外の部分に差が出た。
 まず、外貨建て資産については、勝ってる人は先進国株投信の保有が多かった。この3年間の世界的な株高の恩恵を享受できた格好だ。一方、勝てない人はFX(外国為替証拠金)取引が目立つ。FXはハイレバレッジの取引が行えるのが特徴で、大勝ちが狙える半面、失敗した時の損失も大きくなりやすい。勝てない人は、高リスクの取引で損失を重ねた可能性がある。

 こうした傾向は、その他の部分にも表れている。例えば、日本株信用取引の利用率を見ると、勝ってる人の20%に対し、勝てない人は27%と高い。勝てない人のハイレバ好きがうかがえる結果だ。
 一方、勝ってる人は、コツコツ&手堅い投資好きが鮮明。保有資産では国内REITが16.8%と高く、勝てない人(6.5%)を大きく上回る。また、積み立て投資を行っている人の割合も、勝てない人の25%に対し、勝ってる人は36%と11ポイントも高かった。
 もう一つ、顕著な差が出たのは投資の勉強時間。勝てない人は、ほとんど勉強しない人が約3割。勝ってる人は約7割が週に1~2時間以上勉強していた。
■高配当・バリュー株に長期投資して連勝
(イラスト:タニグチコウイチ)
 続いて、勝ってる人と勝てない人の投資スタイルの違いを詳しく見ていこう。上のグラフは、「あなたの投資スタイルは?」という質問に対する答えをまとめたものだ。勝ってる人(3連勝)、勝てない人(3連敗)に加え、全体(投資歴3年以上)の結果を比較している。
 注目されるのは、「高配当・優待」と「バリュー(割安)」の2つ。どちらも、全体(緑)に比べて勝ってる人(赤)の比率が高い一方、勝てない人(青)の比率が大幅に低い。先ほど紹介した傾向を踏まえると、高配当やバリュー株にじっくり長期投資している人が着実に連勝を重ねている姿が想像できる。
 一方、「チャート分析」「テーマ株」「イナゴ投資」の3つのスタイルは正反対の結果が出た。つまり、勝てない人の採用率が高い一方、勝ってる人はあまりやっていないスタイルになる。前ページの傾向を踏まえると、こうした運用スタイルに、短期、ハイレバで臨んで連敗するパターンが多そうだ。
 海外投資のスタイルではインデックス型投信が主体の「国際分散投資」が、勝ってる人の採用率が高かった。
(日経マネー 市田憲司)