ぼったくり携帯料金「6割値下げ」も当たり前
ぼったくり携帯料金「6割値下げ」も当たり前
中宮崇(サヨクウォッチャー) 私の携帯電話料金は月約800円である。みなさんは月にどれぐらい払っているだろうか。ほとんどの方が安くて7000円というところだろう。
あとで書くように、私は毎月の携帯料金を安く上げているばかりか、なんと稼いでさえいる。これは誰にでもできることなのだ。
あとで書くように、私は毎月の携帯料金を安く上げているばかりか、なんと稼いでさえいる。これは誰にでもできることなのだ。
私の携帯料金がこれほど安い理由は、ソフトバンクやドコモ、auの主要三大キャリア(MNO)を使っていないからである。それ以外のいわゆる「格安SIM」(MVNO)と契約しているためだ。しかし三大キャリアの料金体系はあまりにも複雑で世界的に見て異常すぎるため、工夫すれば例えばドコモでも、iPhoneを無料で手に入れた上で月料金も毎月ほぼ無料にしてしまうことさえ可能なのである。
先日政府が、携帯電話料金は高すぎるとの見解を示したとの報道が流れた。
菅義偉官房長官は21日、札幌市内で講演し、携帯電話の利用料について「あまりにも不透明で、他国と比較して高すぎるのではという懸念がある。4割程度下げる余地はあると思っている」と述べた。(産経新聞 2018.8.21)
消費者重視の非常に評価できる見解ではあるものの、私に言わせればまだまだ甘い。携帯電話料金は「6割程度下げて当然」である。
冒頭でも述べたとおり、日本の三大キャリアにおける携帯電話料金体系は、世界的にみて異常である。特に民主党政権時代の「癒着」と言うしかない、むちゃくちゃな保護政策がそれを助長し、消費者からの「ぼったくり」を助長してきた。
日本の三大キャリアによるぼったくりは、高価なiPhoneの普及率の異常な高さに見て取れる。
「StatCounter」によると、スマートフォン向けOSの全世界のシェアは、iOSが20.32%に対し、Android 72.74%と、Androidの圧勝となっている。ところが、これを日本に限定してみると、そのシェアはiOS 66.56%に対しAndroid 32.57%とほぼ真逆となってしまう。ちなみに、アメリカのiOSのシェアは54.12%と半分強で、iPhone“発祥の地”よりも日本の人気の高さが伺える(いずれも2017年9月時点)。(dot. 2017.9.25)
札幌市で講演する菅官房長官=2018年8月21日
現在でもそうだが、日本におけるiPhoneの価格は世界的にみて異常に安く見せかけられている。本来であれば10万円以上する商品が、「実質無料」などと称した紛らわしい「実質ローン」で売られている。その巧妙なカラクリを知らぬ消費者は「iPhoneがタダでもらえるのか」と勘違いさせられて契約し、世界的にも異常に高い料金を何年も支払わされることになる。
実質ローンに過ぎない「実質無料」のカラクリはこうである。例えばここに、世界的には9万6000円でiPhoneが売られているとしよう。これでは金持ちしか買ってくれないので、ソフトバンクは「2年間わが社と契約して毎月基本料金7000円支払い続けてくれるなら、このiPhoneを『実質無料』で差し上げますよ」と甘い声でささやきかける。
7000円という料金自体がそもそも世界的にみて高すぎるわけだが、「iPhoneがタダで手に入る」と勘違いした消費者はあまり気にしない。そして本体代金9万6000円を2年間、24回分割ローンで月当たり4000円と基本料金7000円の合計1万1000円を支払い続けることになる。ソフトバンクは高い月料金で本体代金を回収しているわけだ。
しかし、このままだとただのローンであり「実質無料」などという言葉を使えばただの詐欺になってしまう。ここからが巧妙なところだ。ソフトバンクはここから毎月本体代金4000円を「割引」する。この割引額は、ばらまいた機種によって異なり、大抵の場合は本体代金の24分の1である。ソフトバンクの場合はこの割引金額を「月月割」と称しているが、ドコモは「月々サポート」、auは「毎月割」と称して各社ほぼ同様の仕掛けを用意している。
毎月この割引が行われるため、月の支払いは差し引き7000円のみとなる。これが日本独自と言って良い「実質無料」のワナだ。「ワナ」と言ったのには理由がある。もともとの7000円という月料金自体が高すぎるが、2年間バカ正直に使い続けるなら確かに本体代金「実質無料」と強弁できないことはない。しかし、本体が壊れたり紛失するなどして「2年縛り」の途中で解約した場合はどうなるか? あるいはもっと安い格安SIMにMNP(携帯電話番号ポータビリティー)で乗り換えたい時はどうなるのか? その場合、残りのローンを全額一括請求されてしまうのだ。
例の場合、1年で解約すると4万8000円が一括請求される。そればかりか、「違約金」として約1万円まで支払わなければならないのだ。繰り返すが、こんな異様な料金体系がのさばっているのは世界でほぼ日本のみと言っていい。民主党政権が崩壊し自民党政権となってから、このような歪んだシステムを是正しようとする動きが見え始めてきているが、まだまだ不十分である。
さて、歪んだ制度のあるところには、必ずそれを出し抜いて儲けるヤツが出てくる。冒頭で「私は毎月の携帯料金を安く上げているばかりか、なんと稼いでさえいる」と書いたが、こんなことは日本以外の諸外国では不可能である。
秋葉原や池袋、新大久保辺りに行くと、中国系や韓国人系の「携帯電話買い取りショップ」が林立している。ソフトバンク等で契約しゲットしたばかりのiPhoneXをそういう店に持っていくと、10万円ほどで即日買い取りしてもらえる。そうやって集められたスマホは中国に流れる。なぜなら中国では日本と違い、iPhone自体が非常に高価であり、しかも共産党による規制等の影響で自由に購入することができないからだ。そのため中国ではいまだにスマホの「密輸」などという事件が後を絶たないのである。
日本では三大キャリアが高額な月料金でぼろ儲けしているため、販売促進のために各販売店に対し販売奨励金(インセンティブ)を出している。本来、そのインセンティブは契約を獲得した販売店が自分の懐に入れる性質のものである。しかし、中にはそれを客に「還元」(キャッシュバック)し、それにより契約を獲得しようとする販売店も存在する。例えば、ツイッター等で検索すると、「iPhone一括0円」などとツイートして客を集めている販売店が多数見つかる。
この「一括0円」は前述の「実質0円」と似て非なるものだ。実質ローンに過ぎない「実質0円」に対し「一括0円」は紛れもなくタダなのである。これをうまく使うと月料金を安く(極端な場合無料に)できるばかりか、利益まで出てしまう。
例えば、iPhoneが9万6000円としよう。通常の「実質0円」で販売している店で契約した場合、消費者が月々支払う料金は「基本料金7000円+本体代金ローン4000円-月月割4000円=7000円」となる。
しかしここで、インセンティブが15万円出るとしよう。契約を獲得したい販売店は、この15万円を丸々懐に入れるのではなく、iPhoneの本体代金9万6000円に充てて、客に「一括0円でiPhoneを差し上げますよ」と誘うわけだ。そうすると月々の料金は「基本料金7000円+本体代金ローン0円-月月割4000円=3000円」になる。
日本では、なんとiPhoneが無料でもらえた上に料金まで安くなってしまうのである! しかも「実質0円」で手に入れた場合には、もし1年で途中解約すると4万8000円のローンが残り、それを一括返済する必要があった。しかし「一括0円」で購入した場合、途中解約してもローンなど残らないのだ。違約金1万円のみ支払うだけで良い。
さて、この異様な仕組みをうまく利用するとどうなるか。先ほど、「秋葉原等のスマホ買い取り店に行けばiPhoneXは10万円で買い取ってもらえる」と言いましたね。そういうことです。そうやって儲けている輩はたくさんいる。別のところでも書いたことがあるが、月に2、3日「そういうこと」をするだけで、年間100〜200万円が誰にでも稼げるのだ。これは大人だけでなく子供にでもできるのである。つまり4人家族なら、それだけで年間500万円ほどを稼げてしまう計算になる。
実際そうやって稼いで気楽に生きるために、日本に入国する中国人は多いらしい。私はそういう「稼ぎ方」を「MNP携帯乞食」と呼んでいるが、それを支えているのは何も知らずに毎月高額な料金を「実質0円」という餌に釣られ、生真面目に支払い続けている消費者である。
実際そうやって稼いで気楽に生きるために、日本に入国する中国人は多いらしい。私はそういう「稼ぎ方」を「MNP携帯乞食」と呼んでいるが、それを支えているのは何も知らずに毎月高額な料金を「実質0円」という餌に釣られ、生真面目に支払い続けている消費者である。
この日本独特の歪んだ携帯電話料金体系のせいで、中国人らの大量入国以上に私が危惧していることがある。これは他のメディア関係者等にも何度も警告してきたことなのだが、取り上げられたのは今回が初めてである。それは「少年犯罪」をはじめとする子供への悪影響だ。
繰り返すように、この「稼ぎ」は外国人や我々大人だけでなく、みなさんのお子さんでも簡単にできてしまうのである。メディアが報じていないだけで、親の知らないうちに子供が何十万、何百万もの出どころのわからない金を貯めこんでいる、などということが日本各地で既に起きているという。
私は子供のころは小遣いに苦労し大学進学も奨学金と学資ローンに頼らざるを得ない貧乏人だったので、子供が稼ぐことができるようになった状況自体は反対するつもりはないのだが、現状ではその過程において、極端な場合には例えば親の「同意書」を偽造するなど、子供が犯罪に手を染める要因が多すぎる。また、そうした大金を稼ぐためにクラスメートや後輩等を脅して組織し、契約させピンハネするなどという事件も既に起きているだろうし、そこには暴力団等の反社会勢力も食い込んでいることだろう。