新薬開発へ情報収集体制整備 循環器病対策法案の全容判明

新薬開発へ情報収集体制整備 循環器病対策法案の全容判明


 脳卒中や心臓病など血液の流れの異常が原因で起きる循環器病の予防を目的とする循環器病対策基本法案の全容が18日、分かった。情報収集体制を整備し、革新的な治療方法や新薬の開発を促進させることを明記したのが柱だ。自民、公明、立憲民主、国民民主など与野党各党が法案の内容に合意したことも判明。議員立法で今臨時国会に提出、成立する見通しだ。
 法案では、国や地方公共団体に循環器病対策を実施する責務を明確化した。国民に対しては生活習慣や、高血圧症、糖尿病などの疾病が循環器病の発症に及ぼす影響について正しい知識を持ち、予防に積極的に取り組むよう求めた。

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 その上で、循環器病を発症した疑いのある人の搬送や医療機関による受け入れの迅速な実施▽患者への良質なリハビリテーションを含む医療の迅速な提供▽後遺症を持つ人に対する福祉サービスの提供▽医療や福祉などの関係機関の連携-などを盛り込んだ。情報収集体制の整備や革新的な治療方法の開発にあたっては国立循環器病研究センター(大阪府吹田市)の協力を得るとした。
 このほか、政府に対し循環器病対策推進計画の策定を義務付け、厚生労働省に循環器病対策推進協議会を設置することを明記した。
 循環器病である狭心症心筋梗塞脳梗塞などの原因には高血圧、糖尿病、肥満、喫煙などが指摘されている。
 厚労省の調査によると、平成29年の死因順位は、1位が腫瘍(がん)で約37万人、2位は心疾患で約20万人、3位は脳血管疾患で約11万人。28年度の医科診療医療費は全体で約30兆円かかり、このうち1位は循環器系疾患で6兆円、2位は腫瘍で4兆円だった。