日立、英原発計画見直し 英に追加支援要請も難航必至
日立、英原発計画見直し 英に追加支援要請も難航必至
日立製作所は英国で進める原子力発電所の新設事業を巡り、英側に追加支援を要請する。原発に対する世界的な逆風を背景に、日本での資金集めが難航しているためだ。2019年1月中に交渉がまとまらなければ撤退も検討する。海外での原発建設は挫折が相次ぐ。進行中の最後の案件である英事業も実現しなければ原発輸出政策は岐路を迎え、技術維持など産業全体に影を落とす。
日立は日英両政府の支援を受けて英中部に原発2基を新設する計画を進めてきた。19年内に経済合理性を見極めて着工の可否を判断する予定だったが、事業環境の悪化を受けて判断時期を半年以上前倒しする。
枠組み見直しの柱が、新設事業を担う日立の英子会社「ホライズン・ニュークリア・パワー」の株主構成だ。現在は日立の全額出資だが、リスクを減らすため3割程度まで引き下げるのを日立は事業継続の条件に掲げている。英国政府・企業、日本政府・企業、日立の3者がそれぞれ3千億円を出資することで日立と英政府は合意していた。
日本での出資者集めは難航している。東京電力ホールディングス(HD)は出資しない方向で検討している。東電の方針は中部電力など他社にも影響する可能性が高い。他に出資者を確保できる見込みがないことから英側に負担を求める。
ただ、英国政府も日立の要請を簡単に受け入れられる状況ではない。3兆円に上る総事業費のうち2兆円余りを融資する方針を既に示しており、さらなる負担は国民の反発につながりかねない。メイ政権は欧州連合(EU)からの離脱を巡って支持率が低下しており新たな火種は避けたいとの意向も働きそうだ。交渉は難航が必至だ。