新時代の宇宙開発、米中の熾烈な競争

新時代の宇宙開発、米中の熾烈な競争

米国中国はいずれも新時代の宇宙探査で世界をリードすることを目指している。以下は両国がそれぞれ向こう15年に達成を計画している主なマイルストーンだ。

Published Jan. 17, 2019 at 10:00 a.m. JST

米国

中国

2018年11月26日 火星探査機

火星の内部調査をミッションとする米航空宇宙局(NASA)の探査機「インサイト」が着陸に成功。

2019年1月 月探査機

月の裏側の調査をミッションとする探査機「嫦娥(じょうが)4号」が2018年12月8日に着陸に成功。19年12月には「嫦娥(じょうが)5号」を打ち上げ、月のサンプルを採取し、地球に持ち帰る。

2020年 北斗

中国独自の全地球測位システムGPS)「北斗」の35基目の人工衛星を打ち上げる。これにより米国のGPSに対抗する世界全域を網羅するシステムが完成する。

2020年 宇宙軍

マイク・ペンス副大統領は2018年8月に行った演説で、2020年までに米軍の6番目の独立組織となる「宇宙軍」を創設する計画を明らかにした。その最優先の任務は米国の人工衛星を中国やロシアの脅威から守ることだ。

2020年 火星探査機

中国初の惑星間ミッションとして、探査機を火星に送り込み、大気や環境を調査する。

2020年 火星探査機

NASAは2020年に6番目となる火星探査機を打ち上げ、かつて存在していたかもしれない微生物の痕跡を探索する。

2020年 スペースプレーン(宇宙航空機)

中国は2018年に自動運転式のスペースプレーンのテスト飛行をしており、2020年ごろには完全運用を目指す。このスペースプレーンは通常の航空機のように滑走路から離陸する。

2020年 スペースプレーン

ボーイングと米国防高等研究計画局(DARPA)が開発中の無人スペースプレーン「XS-1」は2020年前後にテスト飛行が開始される。この超音速機は再利用可能で、ロケットのように垂直離陸する。

2021年 宇宙望遠鏡

NASAハッブル宇宙望遠鏡の後継となる「ジェームズ・ウェッブ宇宙望遠鏡」の10年にわたるミッションが開始される。これにより、これまでよりも遠い宇宙の物体観測が可能になる。

2022年 宇宙ステーション

中国が計画中の宇宙ステーションが完成する。2020年前後には中核となる居住モジュール「天和1号」を軌道に投入し、22年には2機の実験モジュールと連結させて組み立てを完了する。

2022年 宇宙ステーション

月の周回軌道に構築する宇宙ステーション「月軌道プラットフォームゲートウェイ(LOP-G)」の建設が開始される。2023年には運用を徐々に開始する予定で、これにより月への定期的な行き来が可能になるほか、深宇宙の探査がしやすくなる。

2023年 有人月面着陸

NASA新型宇宙船「オリオン」で米国の飛行士を輸送し、51年ぶりの有人月面着陸の実現を目指す。

2025年 月面基地

中国はロボットを使用して2025年までに月面基地を建設し、30年までに要員を配置する計画。人類初の恒久的な月面基地になる可能性がある。

2026年 木星探査機

深宇宙探査機「エウロパ・クリッパー」が2023年に打ち上げられ、3年後には木星の衛星エウロパの探査が開始される。

2028年 火星探査機

サンプルを採取し、地球に持ち帰る探査機が2028年前後に火星に到達する。

2029年 木星探査機

2030年までには木星探査機が打ち上げられる。

2033年 有人火星探査

NASA2033年ごろをめどに人類初の有人火星ミッションを計画している。

出所: 中国国家航天局、新華社NASADARPA

写真: Associated Press/Kin Cheung (Beidou); Xinhua/Sipa US/Newscom (Chang'e-4); Reuters (Chinese space station); Agence France-Presse/NASA/JPL-CALTECH/SWRI/MSSS/Kevin M. Gill (Jupiter); Chinese State Administration of Science, Technology and Industry for National Defense via Xinhua (China's rover); NASA (inSight, U.S. rover, telescope, Orion, Europa Clipper, Lunar Orbital Platform-Gateway); DARPA (XS-1 spaceplane)

イラスト: David Chan