日本の若手アニメーター 年収低く厳しい労働環境続く

日本の若手アニメーター 年収低く厳しい労働環境続く

海外でも高い評価を受ける日本のアニメーションの制作に関わる人の労働環境をテーマにしたシンポジウムが開かれ、若手アニメーターの厳しい労働実態が報告されました。
シンポジウムは文化庁などが23日、都内で開き、業界団体が去年行ったアニメの制作に関わる人の労働環境の調査結果が報告されました。

対象は、絵を描くアニメーターと呼ばれる職種を中心に監督やシナリオライターなどで、およそ1500人に調査票を配布したほか、インターネットでも協力を呼びかけ382人から回答がよせられました。

それによりますと、全体の平均年収はおよそ441万円で、前回、5年前に行った調査と比べ100万円余り増加しました。

これは全産業の平均年収と比較しても9万円ほど上回っています。

しかし、20歳から24歳に限ると、平均年収はおよそ155万円で全産業の平均年収を100万円余り下回りました。調査を行った団体によりますと、アニメの制作現場では若手アニメーターが大量の絵を描く作業などを担当していて、引き続き厳しい労働環境に置かれていることが分かったとしています。

このあとの有識者によるディスカッションでは、10年後にもよいアニメを作るためには、若手アニメーターにお金をかけ育てる必要があるといった指摘や、労働組合を設置してはどうかといった提案が出されていました。

日本アニメーター・演出協会入江泰浩代表理事は「前回の調査より改善はしているものの、まだ、恩恵を受けていない人もいる。働きやすい業界にしていきたい」と話していました。