豪とボーイング、ドローン戦闘機を共同開発 軍拡競争に拍車

豪とボーイング、ドローン戦闘機を共同開発 軍拡競争に拍車

豪メルボルン郊外のアバロン空港に展示されたボーイング社の新型無人機モデル
メルボルン郊外のアバロン空港に展示されたボーイング社の新型無人機モデル Photo: jamie freed/Reuters
 オーストラリア軍は米ボーイング社と提携し、ほぼ戦闘機並みの規模を持つドローン戦闘機「ロイヤル・ウイングマン(忠実な僚機)」を共同開発する。ロシアや中国も新型のステルス戦闘機や無人戦闘機を拡充しており、世界的な軍拡競争が加速しそうだ。
 ボーイングによると、ロイヤル・ウイングマンの航続距離は最大2000海里(約ニューヨーク〜ベネズエラ間に相当)で、電子戦や監視の任務を遂行する。豪当局者はこの無人機で、米ロッキード・マーチン社の最新鋭ステルス戦闘機「F35」などの軍用機を護衛させる構想を描く。F35は、豪州政府が1500億ドルをかけて行う軍装備刷新の中核をなし、米軍の防衛戦略においても重要な役割を担う。
 当局者は豪州第2の都市、メルボルン郊外の空港で開催された記念イベントで、開発が進めば、この無人機が将来的にミサイルや爆弾の輸送を担うとの見方を示した。
 ロイヤル・ウイングマンは、遠隔操作の無人機「QF16」に関する研究を基に開発された。ボーイングは元々、老朽化した「F16」戦闘機を使用する米空軍向けにQF16を開発していた。
 ボーイングはロイヤル・ウイングマンの価格やこれまでの開発費については明らかにしていない。

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 ロイヤル・ウイングマンの試験飛行は来年、オーストラリアで始まる予定。自律飛行のほか、共に飛行する機体の操縦士からの指示でも飛行可能だ。
 当局者によると、ロイヤル・ウイングマンは単独で任務に当たるか、新型戦闘機の前方を飛行することで操縦士を脅威から守るほか、機密情報の収集や兵器投下命令を遂行する目的で配備されるという。
 豪政府はすでに、軍近代化の取り組みの一環として、より小型の軍用無人機「リーパー」や長距離の海上哨戒を担う無人機などを装備している。背景には、中国が軍事力を増強し、海運の要所である南シナ海の実効支配を進めていることがある。