欧州銀のトレーダーが降参、ウォール街の米国勢にはかなわない
欧州の投資銀行はトレーディングで優位に立つことをあきらめた。
金融危機から10年がたち、米国勢の背中を追いかけてきた欧州の銀行はトレーディング業務に割り当てる人員や資本を減らしている。2018年もトレーディング部門の業績が米国勢についていけなかった欧州銀は、もはやあきらめムードだ。
イタリアの銀行ウニクレディトのジャンピエール・ムスティエ最高経営責任者(CEO)は先月ブリュッセルで、「戦いは(欧州銀の)負けだ」と認めた。デリバティブ(金融派生商品)トレーダー出身の同CEOは「これからは商業銀行業務がデリバティブの代わりだ」と述べた。
昨年の業績が明らかになるのに伴い、欧州の大手銀のトレーディング収入がこぞって減少したことが分かった。10-12月(第4四半期)は、ドイツ銀行のトレーディングは金融危機のさなか以来で最悪のパフォーマンス。クレディ・スイス・グループはトレーディング部門が赤字となった。最近までトレーディングを成長分野と位置づけていたフランスの銀行すら資本を引き揚げ、人を減らしつつある。
欧州銀各行の届け出に基づくと、主要トレーディング事業の昨年の収入は合計で9%余り減少、15年に比べると2割以上縮小した。これに対し米銀のトレーディング収入は昨年増加した。
欧州銀で働くトレーダーらはかねて、単一の資本市場や真の銀行同盟がないこと、新たな規制の導入など構造的な不利を業績低迷の理由に挙げ、英国の欧州連合(EU)離脱問題が状況をさらに悪化させていると主張している。欧州銀は伝統的な銀行業務の収益を圧迫するマイナス金利にも、依然苦しんでいる。
ムーディーズ・インベスターズ・サービスの銀行担当シニア・クレジットオフィサー、マイケル・ローア氏は「米国の銀行は、より収益性が高い。従ってより多くの投資資金があり、テクノロジー採用でも有利な傾向がある」と指摘。「今年はセールスとトレーディングが全体で緩やかに減速すると見込むが、このシナリオの下では米銀が有利な位置にある」との見方を示した。
The Profitability Problem
EU banks return much less profit on their equity than U.S. peers
Source: company filings
Note: ROTE is return on tangible equity