ドライバーの顔認証実験、成功率はゼロ 米NY州の高速道路

ドライバーの顔認証実験、成功率はゼロ 米NY州の高速道路

マンハッタンからクイーンズ区へ通じるロバート・F・ケネディー・ブリッジ
マンハッタンからクイーンズ区へ通じるロバート・F・ケネディー・ブリッジ Photo: Johannes EISELE/Agence France-Presse/Getty Image
 米ニューヨーク州で昨年、高速道路の橋を走行する車を撮影し、ドライバーの顔を識別する初の試みが行われたが、結果は大失敗に終わった。ウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)が確認したニューヨーク州都市交通局(MTA)内部の電子メールで明らかになった。
 実験が行われたのはマンハッタンへ通じる道路橋のロバート・F・ケネディ(RFK)ブリッジ。専門家によると、高速で走る車のフロントガラス越しにドライバーの写真を取る顔認証は、大きな技術的課題とプライバシーを巡る懸念に直面している。マンハッタンにつながる7つの橋と2つのトンネルを合計した走行台数は1日平均90万台に上るが、MTAは実験が前進していると述べている。
 ニューヨーク州のアンドリュー・クオモ知事の広報担当者は、「ニューヨーク市民の自由を保護しつつ安全を守るため、当局はこうした技術をはじめ、あらゆる手段を試している」と述べた。
 クオモ知事は2018年7月、5億ドル余りをかけた2つのトンネルの修繕完工を祝う式典で、顔認証の利点を強調。「車内の人の顔を認識し、データベースと照合することができる」と述べていた。
 だがMTA当局者は知事公室へ宛てた11月29日付のメールで、「RFKにおける顔認証コンセプト証明の当初期間が終了したが、許容範囲内で認識できた顔は皆無(0%)だった」と報告した。WSJはこのメールを確認した。