ファミマ、脱・24時間踏み込む セブン上回る時短実験

ファミマ、脱・24時間踏み込む セブン上回る時短実験

小売り・外食
2019/4/11 1:39
コンビニエンスストアの24時間営業を巡る問題で、ファミリーマートが踏み込んだ対応策を打ち出す。10日、営業時間を短縮する試みを6月から一部地域で始めると発表した。最大手のセブン―イレブン・ジャパンを上回る規模となるもよう。店舗売上高が低く人件費上昇がフランチャイズチェーン(FC)加盟店に打撃となりやすいだけに、新たなコンビニの事業モデルの模索に乗り出す。
「実験なので結果を見て考えるのが基本的なスタンスだが、FC契約の見直しに踏み込むこともないとは言えない」。親会社のユニー・ファミリーマートホールディングスの高柳浩二社長は10日に開いた2019年2月期の決算記者会見で営業時間短縮(時短)の実験について説明した。実験には一部地域のFC加盟店約270店に参加を呼びかける。
先行して営業を短縮しているファミリーマート(京都市)
先行して営業を短縮しているファミリーマート京都市
時短実験はセブンが3月下旬に直営10店で始め、順次FC店に拡大する方針を打ち出しているが、ファミマの試みはそれを上回る規模になる見込みだ。
セブンは24時間営業の原則を維持しながらFC店の要望に個別に対応する方針。ファミマは特定の地域で営業時間を短縮する店をまとめることで、配送や弁当の製造時間も含めた24時間営業を前提とした事業モデルを見直す点にまで実験で踏み込む。高柳社長は「われわれを支えている人は多く、勘案して今後のことを考えたい」と強調した。
ファミマにとって24時間問題のインパクトは大きい。コンビニは粗利益を本部と加盟店で分け合い人件費などの店舗運営コストは加盟店側が負担する。ファミマの加盟店はセブンに比べれば粗利益から受け取れる割合は大きいとされるが、1店舗あたりの1日平均売上高は50万円台前半で伸び悩み、人件費増加の負担感が大きい。
同社は16年9月、コンビニ「サークルK」「サンクス」を運営する旧ユニーグループ・ホールディングス経営統合し、約2年をかけ、5千店をファミマへ切り替えた。不採算店の整理も進めたが、切り替え作業に人手を割かれ、商品力やサービスの充実、加盟店支援が手薄になっていた。統合で思い描いたようには稼ぐ力が高まらず加盟店オーナーの不満が高まっていた可能性があった。
営業時間短縮はチェーン本部にとっても大きな減収要因だ。それでも大規模実験で24時間営業見直しを試み、オーナーの不満を和らげることを優先しなければならない状況になっていた。
「上位をまねるのは下位企業の立派な戦略だ」高柳社長は以前にはこう語っていた。かつてはセブンが作り上げたコンビニモデルを追随すれば良かったが、今回は「ゲームのルールを変えたい」(ユニーファミマ幹部)と意気込む。地域や曜日を限定して柔軟な営業時間にする検討に入るなど、セブンよりも踏み込んだ対応を取る。
営業時間を変えてオーナーをつなぎとめるだけでは成長できない。たとえば、コンビニの主力品である「おにぎり」。セブンは年間22億個を売り上げるが、ファミマはこの半分以下とみられる。国内店舗数はセブンの8割近くの1万6430店で、商品力の差は歴然だ。ファミマは消費者の需要を探り、商品やサービスを磨き続ける必要がある。(今井拓也、矢尾隆行)