ナチスドイツや
ヒトラーは最初から
ユダヤ人の殲滅を計画していなかったことです。
前置きですが
ユダヤ人の虐殺が行われなかったとか
ヒトラーが実は
反ユダヤ主義者で無かったという巷に知られている
歴史修正主義とは別です。これは、ちゃんとしたドイツ史の学者間の研究で二十世紀後半に明らかになった事で
ナチス・ドイツ史では
Functionalism versus intentionalism 機構論-目的論の論争として知られています。
ユダヤ人の虐殺は最初からそういう目的が在ったのか、
ナチスの機構-機能による偶発的な結果なのかという論争です。
ナチスドイツによる
ユダヤ人虐殺は歴史的事実として確立しているので、次に問題になったのはいかに
ユダヤ人問題の最終解決が計画実行されるに至ったかの過程が研究される様になりました。当然最初に資料研究の対象となったのは
ヒトラーと
ナチスの上層部。ところが今現在、
ヒトラーどころか
ナチスの首脳部が
ユダヤ人殲滅を立案計画およびその命令書に署名したという資料はありません。
実際にあれだけ
反ユダヤ主義を謳っていた
ヒトラーも実際の
ユダヤ問題の最終解決策に具体的な絵を描いていたわけではなく、最初はドイツの領土から
ユダヤ人がいなくなればよかっただけで別に世界から
ユダヤ人を根絶やしにするなんて極端な計画があったわけではありません。
まず
敵性国民である自国の
ユダヤ人を戦時体制のもとに
強制収容所で管理することになり、
アメリカやイギリスなどに
ユダヤ人受け入れを提案したが受け入れられず、更に
大英帝国打破に失敗すると共に
マダガスカル島に
ユダヤ人を追放する計画が頓挫します。次に
ポーランドを征服すると共に300万人強の
ポーランドの
ユダヤ人を収容所で管理することになりますが、この段階では対ソ戦が成功すれば広大な
ソビエトの領土のどこかに
ユダヤ人を追放すればよいと計画が修正されます。しかし東方戦線が膠着そして完全に敗走状態になると可能な追放先そのものが消滅。このドイツが陥った状況における
合理的解決策として
ナチスの官僚機構が収容所の
ユダヤ人を
処理する決定を下したのが
ホロコーストです。
これをもって
ナチスドイツや
ヒトラーはそれほど悪者ではなかったという解釈は安易な結論だと思います。逆に
ヒトラーや
毛沢東や
スターリンや
ポル・ポトが何らかの性格破綻者でテレビや映画に出てくる悪役のようなものと単純に解釈するほうが危険だと思います。実際の近代-現代史の惨事を研究すると明らかですが、組織的な大規模な虐殺を実行するに必要なのは多数の普通の人達の協力賛同です。
この質問を答える前に
特別永住者は、朝鮮戦争による難民救済の面があったと思います。 今後正式に停戦合意がなされた場合、この救済処置は撤廃されるべきだと思いますが、他に継続すべき理由が有るのでしょうか?という質問に回答しました。もちろん上記の質問をすることやそれを議論することは否定しませんし、これよりももっと低俗なことを2ちゃんなどで隠れて主張する人たちが実際に在日を
ガス室送りすることに賛同していると言うわけでもありません。別に
ユダヤ人のいないドイツという
ヒトラーの演説にうなずいていたドイツ人だって、それが何百万人の
ユダヤ人の虐殺につながるとは夢にも思っていなかったはずです。言っている本人の
ヒトラーさえもそうは考えていなかったのですから。
下の
ポル・ポトだって巷に言われている虐殺は下の人間が勝手にやったことで自分は与り知らぬことだと言っています。本当に怖いのはイメージとして独り歩きしている怪物の
ヒトラーや
スターリンなどではなく、
ヒトラーや
スターリンや
ポル・ポトも普通の人間という事実です。