シンシナティ大学など、がん120年の謎「核小体肥大化」の仕組み解明

シンシナティ大学など、がん120年の謎「核小体肥大化」の仕組み解明

科学
シンシナティ大学(米国)・広島大学慶應義塾大学を核とした国際研究チームは、がんにより「核小体肥大化」が発生するのは、 増大するGTP(グアノシン三リン酸)エネルギーが原因であることを発見した。
更に、GTPエネルギーの産生を遮断すると、がんを抑制できることも明らかにした。
 
核小体とは、細胞の核の中にある、直径 1 〜 3 μm程度の「目」のような部位である。リボ核酸RNA)をつくっており、遺伝情報を伝えることにかかわっている。
1896年、多くのがんにおいて、核小体が肥大化することが発見された。しかし、その仕組みは今まで不明だった。
 
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ヒトの細胞の核、出典:Wikipedia
 
研究チームは、悪性脳腫瘍「神経膠芽腫(グリオブラストーマ)」のエネルギー産生経路を調べた。
最新の代謝解析技術は、悪性脳腫瘍において、GTP(グアノシン三リン酸)のエネルギーの産生が著しく増加していることを示した。
更に、このGTP産生増加は、がん細胞で、イノシン酸脱水素酵素(IMPDH)の量が増えることにより引き起こされることもわかった。
 
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グリオブラストーマを移植したマウスの核小体、(右)はIMPDH阻害剤を投与、原典:広島大学
 
研究チームは、マウスにグリオブラストーマを移植した。
IMPDH阻害剤を投与したマウスは、核小体は小さくなり、グリオブラストーマの増殖も抑制でき、延命した。
 
IMPDHの増加がGTPを増加させ、「核小体肥大化」が起きていることがわかった。
 
 
病気の有効な治療法を見つけるためには、その発生メカニズムを知ることが必要不可欠である。がんは、まだ不明なことが多いが、その一つは解明された。
今回の成果は、がんの新治療開発に繋がる可能性が十分にある。