ギリシャの債務減免交渉の主なポイント
[ニューヨーク 24日 ロイター] ギリシャの債務減免はぎりぎりの交渉が続いている。現時点での協議の焦点や、ギリシャ政府、国際通貨基金(IMF)、民間債権者などのそれぞれの主張をQ&A形式でまとめた。
Q:何が協議されているのか。
A:債務交換により、ギリシャの債務残高を3500億ユーロから約2500億ユーロに縮小することが話し合われている。民間債権者は元本を50%減額する方針でギリシャとは既に合意。ただ、これ以上の減額になる可能性もある。
焦点となっているのは、既存のギリシャ国債と交換する新な国債の利率をどの程度にするかで、ギリシャは表面利率が3.5%以上は受け入れられないとしている。一方、民間債権者は少なくとも4%の利率を求めている。
Q:誰が交渉に参加しているのか。
公的機関は債務交換には参加しないが、ギリシャと民間債権者の合意案が債務圧縮に不十分と判断した場合、その案を拒否することが可能。
Q:民間債権者の要求はまとまっているか。
A:民間債権者の要求は必ずしも同じものではない。債権者の中には、ギリシャ国債が今よりももっと価値があった時に購入した欧州の銀行がある。こうした銀行は、ギリシャ国債がデフォルト(債務不履行)した場合、ヘッジとして購入したクレジット・デフォルト・スワップ(CDS)で利益を得るかもしれない。ただ、ユーロ圏の安定を脅かすような事態を銀行は避けるだろう。
Q:ヘッジファンドは悪役か。
スプロット・アセット・マネジメントの資産運用担当者、エリック・スプロット氏は、ヘッジファンドは最良のリーガルアドバイザーを抱えており、交渉でも優位な立場にある、と指摘する。また、交渉に参加するひとりは、ヘッジファンドが保有するギリシャ債務は全体の5─10%との見方を示している。
一方、銀行が多額の元本削減を受け入れれば、銀行は今後、重債務にあえぐ他のユーロ圏の国債購入に二の足を踏むようになるだろう。
さらに、公共機関も将来の交渉で最も良い条件を引き出すために行うべきことがある。ハーバード大学のエコノミスト、ケネス・ロゴフ氏は「仮に欧州中央銀行(ECB)やIMFが今回強気で交渉しなければ、ポルトガルやアイルランド、スペインといった国の債務再編交渉があった場合、立場が非常に弱くなる」との見方を示した。
Q:仮に交渉が決裂したら。
A:誰にも予想がつかず、こうした不透明な状況自体が危険だ。ギリシャがデフォルトすれば、他のユーロ圏諸国がデフォルトする可能性もあり、リーマン危機のような事態になる。これが最悪のシナリオだ。