社員研修には好印象 留学生が見た日本企業
社員研修には好印象 留学生が見た日本企業
来春日本の大学・大学院を卒業、修了予定の外国人留学生に、就職活動状況や職業観を調査しました。日本企業にどのようなイメージを持っているのかを尋ねました。
最も多かったのが「社員研修が充実している」(78・1%)です。「新入社員研修が非常に手厚いので安心できる」「専門知識がなくても研修などで学べる機会が多い」といった声があがりました。スキルよりもポテンシャルが重視される「新卒一括採用」ならではの手厚い研修に、「人を育てる意識が高い」と、好印象を持つ外国人留学生は少なくありません。
2番目は「高い日本語力が求められる」です。就活でも日本人と同じ選考基準で判断されることが多く、入社後にも同様に高い日本語力が必要なイメージがあるのでしょう。「日本人と同じようにエントリーシートや筆記試験などを求められ、本当の能力をアピールできないまま落とされてしまう」と、悩む留学生も少なくありません。
実際に、7月1日時点の内定率は、日本人学生が8割超(84%)に対し、外国人留学生は約4割(40・6%)と、半分程度にとどまります。また、多くの留学生は、ある程度高い日本語力を有していますが、「表現が直接的じゃないので、本当の目的がはっきりわからず、日本人とのコミュニケーションは難しい」など、意思疎通に不安を感じる人も多いようです。
3番目は「長時間労働」です。多くの日本企業で働き方改革が進められていますが、長時間労働のイメージが依然として高いのが実態です。「仕事に対する態度が真面目というイメージはありますが、必要以上の残業が多い印象は拭えません」「細かいことにこだわり、効率性が低い」「上司が帰らないと部下が帰れない」など、不必要な残業が多いイメージもあるようです。
そのほかに具体的なイメージを尋ねると、「経営が安定している。悪く言えば硬直的で変化に乏しい」「年功序列で昇進が遅い」という声が多くあがりました。外国人留学生は、日本人学生より出世意欲が高い傾向があるため、能力があっても早く昇進できないことはデメリットに感じます。「外国人は日本企業では経営層にまで昇進できない」「女性の管理職比率が低く、昇進できない」などと、多様性の欠如への指摘も見られました。
政府は令和2年までに30万人の留学生受け入れを目指しており、卒業後に日本企業への就職率を高めることも、重点課題として取り組んでいます。
日本企業にとっても、組織の多様化やグローバル化は今後の成長に欠かせません。日本での就職を希望している留学生が、入社しやすく、入社後も活躍できる環境が求められています。(キャリタスリサーチ 松本あゆみ)
動揺する「中国漬け」の世界 豪・独が鳴らす警鐘
動揺する「中国漬け」の世界 豪・独が鳴らす警鐘
本社コメンテーター 梶原誠
-
2019/8/20 2:00
日本経済新聞 電子版
「歴史上初めてとなる中国発の世界景気後退」。これこそが8月に入って以降、世界を揺らしている市場波乱の根底にあるシナリオだ。米国による対中関税の追加、人民元の1ドル=7元台への下落、米国が中国を為替操作国に指定……。表面化した材料はどれも、ふらつく中国景気の一段の悪化を世界の投資家に連想させた。
中国発の逆風を最も強く意識した先進国の市場は、間違いなくオーストラリアだ。中国は2009年以降、豪州にとり最大の輸出国であり、輸出全体に占める割合は30%を超える。中国の成長を追い風に、27年を超える異例の景気拡大を続けてきた。
ところが8月以降、先週までに株式相場は6%下げ、豪ドルは10年ぶりの安値まで売られた。長期金利は、景気の悪化を織り込む形で初めて1%を割った。「国家の繁栄が集中砲火にさらされている」。普段は抑制した論調の経済紙「フィナンシャル・レビュー」ですら、パニックに駆られた見出しを1面トップに掲げた。
豪州の市場関係者が緊張したのは、同国最大の輸出品であり、鉄鋼生産大国の中国が最大の買い手となっている鉄鉱石の相場が急落したからでもある。国際価格は7月末比で一時25%も安くなった。中国景気が悪化して、需給関係が緩むと受け止められたのだ。
それは、鉄鉱石の輸出が屋台骨を支える豪州経済の足も引っ張る。仮に日本の稼ぎ頭である自動車の価格が一気に25%引き下げられたら、衝撃で日本の株式市場も大揺れになるだろう。
豪州の混乱は、中国の景気悪化がもたらす惨事が頭をよぎり、動揺した世界の市場の縮図だ。多くの市場関係者は今回の波乱で、世界経済が思ったより中国に頼っていると気付いたのではないか。
中国の国内総生産(GDP)が世界に占めるシェアは昨年で16%だ。米国の24%に次ぐ世界2位とはいえ、16%という数字だけを見ると中国が少々揺らいでも大した影響はないと感じる人もいるはずだ。ところが、豪州のように中国を貿易相手とする国の立場で見ると、震度はまるで異なる。
この期間は08年のリーマン危機で米国がつまずき、巨額の経済対策を打った中国が逆に存在感を高めた過程と重なる。先進国の日本、そして新興国の代表格であるブラジルや南アフリカのように、最大の輸出先が米国から中国に代わった国も多い。
最大とまではいかなくとも、輸出先の上位3位に中国が入っている国と地域は約70に達する。約200と言われる国と地域の3分の1以上が中国を「得意先」としており、中国経済が悪化した場合に少なからぬ悪影響を被る。「中国漬け」になった世界の一断面だ。
ドイツの苦境も今こそ検証に値する。同国も中国発の逆風に悩んでいる。14日には4~6月期のマイナス成長を発表して投資家心理を冷え込ませたが、「景気低迷の最大の原因は中国」(英王立国際問題研究所のジム・オニール会長)というのが市場の認識だ。
ドイツにとって、中国は米国とフランスに次ぐ第3位の輸出先だ。中国での自動車販売を急拡大したこともあり07年の11位から大きく浮上。輸出全体に占める中国の比率も3%から7%へと2倍以上になった。この「中国シフト」が、景気の悪化に伴う中国の自動車市場の冷え込みで裏目に出た。
本当に苦しむのはこれからだ。中国政府は国内自動車市場の電気自動車(EV)化を加速している。米経営コンサルタント会社のアリックス・パートナーズによると、国内販売に占める広義のEVの比率は今の7%から25年には19%に拡大する。今年だけでも、50を超える国内EVメーカーが100以上のモデルを投入する。
自動車産業に国の経済を依存するドイツは、巨額の投資負担が短期的な業績悪化を招き、雇用調整も迫られるEV化が遅れていた。このままでは皮肉にも、かつて技術を供与してきた中国の自動車産業に顧客を奪われる。ドイツは中国景気の悪化と、進化した中国企業との競争の両面で逆境にある。
日本企業にとっても、近隣の世界2位の経済大国を抜きにしては経営戦略が描きにくい。両国の外交関係も好転した。「今はチューリップが開いている」。パチンコ台に例えて企業に中国進出を促す日本の外交関係者もいる。
だが、チューリップはいずれ閉じる。そのきっかけが中国の景気悪化であり、中国企業との競争激化であるのは豪州やドイツの苦境が教える通りだ。外交も、何を契機に悪化するかわからない。
乳がん細胞を脂肪細胞に変えることに成功:バーゼル大学の研究
脂肪細胞 Dr.Microbe-iStock
スイスのバーゼル大学の研究チームは、上皮間葉転換(EMT)や間葉上皮転換(MET)といったがん細胞が体中に広がるときのメカニズムを活用し、米食品医薬品局(FDA)の承認薬によって乳がん細胞を脂肪に変えることに成功した。一連の研究成果は、2019年1月14日、がん領域の学術雑誌「キャンサー・セル」で公開されたが、再び今話題になっている。
抗がん剤と糖尿病治療薬の組み合わせで上皮間葉転換とは、周囲の細胞と接着する上皮細胞がその機能を失い、周囲と結合せず、運動性の高い「間葉」の特性を持つ細胞へと形質が変化するプロセスを指し、間葉上皮転換は、逆に、間葉系細胞が運動性を失い、上皮細胞の形質を得る現象をいう。がん細胞は、これらのプロセスを用いて次々と転移し、体中に広がっていく。研究チームでは、上皮間葉転換や間葉上皮転換が進行中の細胞は可変状態にあることに着目。ヒトの乳がん細胞を雌のマウスの乳腺脂肪体に移植したうえで、食品医薬品局で承認されている抗がん剤「トラメチニブ」と2型糖尿病治療薬「ロシグリタゾン」をこれらのマウスに投与した。その結果、乳がん細胞が脂肪細胞に変化したほか、原発腫瘍の成長が抑制され、転移も防ぐことができた。また、長期の培養実験によると、がん細胞から変化した脂肪細胞が乳がん細胞に再び戻ることはなかった。「トラメチニブ」ががん細胞から幹細胞への移行プロセスを高め、「ロシグリタゾン」の作用と相まって、幹細胞から脂肪細胞への転換がすすんだためとみられている。ヒト臨床実験にも着手しやすいとみている一連の研究結果は概念実証にとどまっており、ヒトにもマウスと同様の効果がみられるのか、乳がん細胞以外のがんにも適用できるのかについては、さらなる研究が必要だ。研究チームでは、この実験で用いた「トラメチニブ」と「ロシグリタゾン」がいずれも食品医薬品局の承認薬であることから、今後、この新たな治療法に関するヒト臨床実験にも着手しやすいとみている。研究論文の責任著者でもあるバーゼル大学のゲールハルト・クリストフォリ教授は「将来的には、この新たな治療法と既存の化学療法とを組み合わせることで、原発腫瘍の成長と転移の両方を抑制できるようになるかもしれない」と期待を寄せている。
太平洋で米軍の優位性喪失、中国からの同盟国防衛は困難に
太平洋で米軍の優位性喪失、中国からの同盟国防衛は困難に 豪シンクタンク
このニュースをシェア
【8月19日 AFP】米国は太平洋における軍事的優位性を既に失っており、同盟国を中国から防衛するのは困難となる恐れがあると警告する報告書を、豪シドニー大学アメリカ研究センター(United States Studies Centre at the University of Sydney)が19日、発表した。
報告書は、米軍を「危険なほど過度の負担を課された」「衰退する軍隊」と評し、中国と敵対するには「準備不足」だと厳しく指摘している。
ドナルド・トランプ(Donald Trump)米大統領の政権下で、中国の侵略の脅威に直面する同盟国を米国は守らないのではないかとの懸念が高まっている。しかし、この報告書は、たとえ米国に同盟国を防衛する意思があっても、実際に支援するのは困難かもしれないことを示唆している。
報告書は米政府について、「戦略的な債務超過」状態に陥っていると指摘し、数十年間に及ぶ中東での戦争、党派対立、投資不足によって太平洋の同盟諸国を危険にさらしていると批判。「対照的に、中国は先進的な軍備への大規模投資の結果、軍事力で地域の秩序に挑戦する能力をかつてなく発達させている」と述べている。
特に重要なのは、中国が命中精度の高い弾道ミサイルや介入阻止のシステムに投資しており、そのため紛争地域への米軍の速やかな展開が難しくなると考えられる点だ。この優位性を利用して、中国は米軍到達前に台湾や日本の施政下にある島々、南シナ海(South China Sea)を占領する恐れがあると、報告書は指摘している。(c)AFP/Andrew BEATTY
GSOMIA破棄 日本への影響は…北ミサイル、拉致問題はどうなる
GSOMIA破棄 日本への影響は…北ミサイル、拉致問題はどうなる
防衛省で取材に応じる岩屋防衛相=23日午前
PR
GSOMIA破棄という韓国の暴挙は、日本の安全保障にも影響を及ぼしかねない。岩屋毅防衛相は23日、破棄による日本への影響について、「わが国の安全の確保に支障が一切ないよう、日米関係を基軸に万全を期していきたい」と述べた。
北朝鮮によるミサイル発射への初動は、日米の連携で対処している。米国の早期警戒衛星が捉えた情報を基に、自衛隊の地上レーダーやイージス艦のレーダーが方角を絞って追尾する。GSOMIAが破棄されても一連の動きは変わらず、即座に重大な影響は生じないとみられる。
それでも、韓国側が得意とするミサイル発射の兆候や発射直後のレーダー情報などの面では情報共有が難しくなる。
ミサイル発射の分析にも支障が生じかねない。防衛省幹部は「北朝鮮に近い分、具体的なミサイル情報は韓国側の方が豊富だ。韓国の情報からミサイル技術の進展具合などを分析することもできるが、その情報を得られなくなるのはマイナスだ」と語る。
GSOMIA破棄後、必要な情報については米国を介して得ることになるが、韓国側の許可が必要になるなど運用面での後退は避けられない。
東電、柏崎刈羽原発の一部廃炉検討、6・7号機の再稼働前提
東電、柏崎刈羽原発の一部廃炉検討、6・7号機の再稼働前提
-
2019/8/24 1:00
日本経済新聞 電子版
東京電力ホールディングスが柏崎刈羽原子力発電所(新潟県)の一部廃炉を検討していることが分かった。東電が目指す同原発6、7号機の再稼働の実現後に1~5号機の中から廃炉対象を選ぶ。再稼働の前提として地元の柏崎市が廃炉計画の策定を求めていたことに対応する。ただ、新潟県も別途、原発を巡る検証作業を進めており再稼働は不透明な状況だ。
東電の小早川智明社長が26日、柏崎市の桜井雅浩市長に会い、1~5号機のすべての再稼働を目指すことはしない方針を伝える見通し。再稼働後に期限を区切って廃炉対象を決める考えも示すとみられる。将来の廃炉を示唆することで6、7号機の再稼働への理解を得たい構えだ。
東電は7月末に福島第2原発の全4基の廃炉を決めたばかりで、事故のあった福島第1原発の廃炉作業も進めている。そのうえで柏崎刈羽原発の廃炉をすぐに手がけるには必要な人手の確保や、財務基盤の点で問題が生じると判断した。現段階では明確な廃炉の方針は打ち出せないが、6、7号機の再稼働により収益が改善すれば廃炉を進める環境が整うとみている。
中国、米国関税第4弾に報復 750億ドル分
中国、米国関税第4弾に報復 750億ドル分
【北京=原田逸策、ワシントン=中村亮】中国国務院(政府)は23日夜、米国が9月から発動する予定の対中制裁関税「第4弾」への報復措置を発表した。原油や農産物など約750億ドル分(約8兆円)の米国製品に5~10%の追加関税をかける。トランプ米大統領は直ちに対抗措置を取る考えを表明し、米中貿易戦争が激しくなるとの見方から米株式相場は大幅下落した。9月1日と12月15日の2段階に分けて発動する。
【関連記事】
・NYダウ、623ドル安 トランプ氏の対中発言嫌気
・FRB議長、米中対立に苦慮「見本になる先例ない」
・関税第4弾、米企業は「反対」 対中依存度は平均4割
・中国、対米報復関税を発動 LNGなど25%に上げ
・NYダウ、623ドル安 トランプ氏の対中発言嫌気
・FRB議長、米中対立に苦慮「見本になる先例ない」
・関税第4弾、米企業は「反対」 対中依存度は平均4割
・中国、対米報復関税を発動 LNGなど25%に上げ
9月に追加関税をかけるのは原油、大豆、鋼板、化学製品など計1717品目。12月に発動するのは木材、自動車、織物など計3361品目。税率はいずれも5%か10%だ。米国側の発動時期と合わせた。
これとは別に、2018年12月の米中首脳会談での合意を受けて、中国は米国製の車や車部品にかける最大25%の追加関税を19年1月から停止していたが、12月15日から復活する。
中国は米国からの輸入の7割にあたる1100億ドル分に追加関税を発動済みだ。残りは400億ドル分しかないため、今回はすでに追加関税を発動した商品にさらに上乗せするものも多い。
米中は7月末に上海で閣僚級の貿易協議を開いたが、事実上物別れに終わった。直後にトランプ氏が9月1日から約3000億ドル分の中国製品に追加関税を発動すると発表。その後、クリスマス商戦への影響を懸念し、スマートフォンやおもちゃなど約1500億ドル相当分の発動を12月15日に先送りした。
先送りで米中協議の進展に期待する声も出ていたが、中国商務省の高峰報道官は22日の記者会見で「一部を延期したが、あらゆる新たな関税措置は(6月末の)大阪での米中首脳会談の共通認識に著しく違反する」と表明。「中国も対抗措置を取らざるをえない」と強調していた。
中国の報復措置発表を受けて、トランプ氏は23日、ツイッターへの投稿で「きょうの午後に中国の関税への対応を講じる」と表明した。「偉大な米企業は生産拠点を米国に移すなどの中国の代替先を迅速に探すよう命じる」と強調した。「我々にとって中国は必要ない。正直言って中国がいない方が暮らし向きが良くなる」と主張した。
トランプ氏のツイートを受けて、米ダウ工業株30種平均は下げ足を速め、600ドル超下落した。外国為替市場ではドル売り・円買いの動きが出た。
米中は9月上旬に次回の閣僚級協議をワシントンで開く予定だ。中国国務院は「米中は協力だけがただ一つの正しい選択だ」として対話による解決を呼びかけたが、米中が互いに追加関税をかけ合えば、協議が開かれない事態も予想される。