デモ参加で人生は変わらない

デモ参加で人生は変わらない

(筆者記事「異様な安保法制反対デモ、「笑劇の現場」」で示した暑さでへばった国会前の反安保法制デモ参加者のみっともない光景)


安保法案をめぐる混乱に、筆者はばかばかしさを感じ、悲しくなる。国会審議も、デモも、メディアに出る情報も日本の安全保障に役立たないものばかりだからだ。時間の無駄なので、忙しい普通の人は、かかわる必要はない。

その中で「デモに出た学生は就職できなくなる」という話が出てきた。そんなことはないと、デモ参加を煽る記事を掲載し続ける朝日新聞などのメディアが、否定記事を載せた。(デモに参加すると就職に不利? 「人生詰む」飛び交う

多分、大半の企業は今、デモ参加で採用の可否などを決めない。またそんなことで、採用を渋るセコい会社でなど、働かない方が正解だ。

ただし今時、「9条守れ」などとタイムマシンに乗って取り出してきたような化石のような問題に熱くなるとか、存在しない「戦争法案」に「反対」と叫んだりする学生や勤労青年は、現実認識能力に乏しいと思う。はっきり言って、能力の問題で企業は採用しないだろう。

「若いとき共産主義者でない人間は心がない。年取って保守主義者でないのは頭がない」と、「伝」ウィンストン・チャーチル(どうも違うらしいが)の政治格言がある。「若気の至り」は起こりがちだが、問題設定の稚拙さにも限度があるだろう。

ちなみに、SEALDs(シールズ)という団体に参加する学生が、自民党議員に対してこんな暴言を吐いていた。こんな人は会社に採用しない。


デモ参加者は就職ができなかった

ただし興味深い情報があった。デモ学生の就職率はどうも低そうだ。

SEALDs(シールズ)という、おそらく共産党系の青年団体の民青(日本民主青年同盟)を母体にした学生集団が国会前デモを仕切る。この団体は構成員の素性を明らかにしていない、気味の悪い集団だ。その前身とされる2013年の「特定秘密保護法に反対する学生」のリストから、当時卒業が見込まれていた学生のSNSを確認した人がいた。(ツイッター記事

筆者もその学生リストを確認した。30人ほど名前を検索したが、リスト上の人物は、ほとんど就職先を明かしていない。もしくは就職していないか留年が多い。一般企業へ就職したことが確認できた人はいなかった。奨学金の返済で困っている人もいた。

もちろん、この母集団は限定的だし、情報も全部が明らかにはなっていないだろう。しかし共産党の色濃い集団に深くかかわるゆえか、筆者の仮説のように能力が劣化するためか、デモ参加者は就職の面では、いい成績を出していないように見える。今の就職事情は厳しさが続く。だからデモと就職の関係が話題となるのだ。そういう状況にあるのに、わざわざデモ参加を煽ることを、他人がするべきではない。

社会の中には常に悪運がつきまとう人がいる。観察すると悪運を自ら呼び込んでいることが多い。他人を攻撃し、自分勝手な行動をするのだ。そして類は友を呼ぶ。おかしな集団にかかわると、さまざまな被害を被ってしまう。怪しげなデモ参加グループに近づくことは自ら人生のリスクを高めることになる。

手を汚さない大人とメディアの醜さ

もちろん人生の行動は自己責任である。また筆者の取材した60-70才代の立派な方には、学生運動にはまっていた人も多い。ただし厳しい現実を示さずに、若者を煽るメディアや大人は、とてもいやらしい。

安保法案に反対する学生と学者の共同行動(国会請願) が7月31日にあった。民主党共産党社民党の国会議員がたすきを掛けて、「頑張れ」「戦争反対」と手を振り応援する光景があった。筆者は気味悪さと不快感を感じた。この政治家らは自分たちはリスクを負わず、若者を煽る。選挙に負けて、法案を通せる状況にしたのは、この野党政治家たちだ。自分が仕事ができないのに、アジテーションで若者の力を利用し、民主的手続きを顧みない。そしてシールズなどは、共産党が党勢拡大のためにつくった組織である可能性が高いのだ。



またメディアも醜い。シールズという団体が共産党系の団体であることを知らないわけがないだろう。しかし、それを隠して若者を煽る。

この醜い政治家たちの姿から戦時中の「学徒出陣」(昭和18年 1943年)を連想した。学業を中断して戦地に向かう若者を、メディアも為政者も一方的に称え、煽った。(東京朝日新聞記事「沸(にえたぎ)る滅敵の血潮-きょう出陣学徒壮行大会、進め悠久大義の道-東条英機首相」)



「戦争を宣言するのは老人であるが、 戦って死ななければならないのは若者である」と米国大統領のハーバート・フーバーは警鐘を鳴らした。平和日本のデモと70 年前の徴兵や学徒出陣は、まったく違う。しかし1945年と2015年で、自分は安全な立場に立ちながら若者を正義の名目の下に無責任に煽り損をさせる大人とメディアの醜悪さは似ている。軍国主義と空想的平和主義と、ベクトルが違うだけで根は同じだ。

もちろん今回の安保法案の制定を進める政府・与党にその面を感じることもある。しかし反対派の方に、現時点では空想やおかしさが目立つように筆者は思う。

こうした醜い人々を筆者は社会の中で威張らせたくない。70年前の戦時中は醜い大人は、今と同じように多かっただろう。今度は騙されない。

特に若い人に言いたい。「デモに行くな」とは言わない。言論活動は自由であるべきだ。しかし、どうも安保法制反対騒動では、おかしな人々がうごめいている。可能な限り情報を集め、自分の頭で物事を考え、人生を大切にした上で、行動を決断するべきだ。普通の常識があれば、反安保の騒動からも、騒ぐ人からも距離を置くだろう。歴史を見れば、権力側だけではなく、その反対派も醜いことがよくある。

あなたを利用する醜い人々に、大切な人生をゆがめさせる必要はない。

石井孝明
ジャーナリスト
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