日本が得た国益 冷静さと気丈さに外国人から尊敬

東日本大震災から6年-日本が得た国益 冷静さと気丈さに外国人から尊敬

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避難所で食料の配給を整然と待ち並ぶ被災者たち=2011年3月、福島県郡山市【拡大】


 東日本大震災と、それに伴う大津波の発生から11日で丸6年になる。震災や津波の犠牲者と、ご遺族の方々には、改めてお悔やみを申し上げる。現在も不自由な生活を余儀なくされている被災者のみなさんが、早く平穏無事な生活に戻れることを心から願っている。

 東日本大震災は、日本が改めて世界の注目を集めるきっかけにもなった。大津波の衝撃的な映像と同じくらい世界が驚いたのは、パニックや暴動、略奪や火事場泥棒がほとんど起きなかったことだ。

 地震の後、首都圏の公共交通機関はすべてストップしたが、駅の階段に座って運転再開を待つ人々は冷静で、他の人が通れるスペースを空ける配慮をしていた。徒歩で自宅に帰ろうとする人々の大行列は極めて静かに流れた。幹線道路沿いの飲食店や商店は休憩場所やトイレを無償で提供した。

 肉親や友人、自宅や職場を失った被災者も、避難所では気丈さと冷静さを保ち、周囲への気遣いを忘れなかった。水や食料の配給を待つ長蛇の列で、割り込みなど身勝手な行動を取る人はほとんどいなかった。

 米ABCニュースの女性リポーターは、取材中、一人の男性からお煎餅を手渡され、「あなたこそ食料が必要なのに…」と繰り返して絶句した。極限の環境下でも他者を気遣う日本人の国民性は、同情よりも感動を呼んだ。

 世界中の人々は、もし同じ規模の震災が自国で起きたら、「日本人のようには振る舞えない」と知っている。多くの人が日本人の冷静さと気丈さに、逆にショックを受け、憧れに近い敬意を抱いた。外国人からの尊敬は日本の国益そのものである。

 一方で、残念ながら当時の菅直人政権(民主党)は、お世辞にも危機管理能力が高いとはいえず、私を含む在日外国人社会は、福島第一原発事故の政府対応について不信感を抱いた。複数の外資系企業が資金を出し合って専門家を雇い、事故の影響を独自に調査させた。

 春休みを前倒しにして、母国への帰国を推奨した外資系企業や大使館も多かった。二度と日本に戻らなかった外国人も少なくない。おかげで都心の外国人向け高級賃貸住宅の家賃相場が半額程度にまで下がり、私の次男はその恩恵を受けた。

 東京に残ったわれわれは、パニック状態で飛んで帰った「ガイジン」を、「フライジン」と揶揄(やゆ)している。

 震災時に日本人が見せた冷静さと他者への配慮の欠片もない人々が、沖縄にいる。米兵や家族の車を止めて「ヤンキー、ダイ(=アメ公、死ね)!」などとヘイトスピーチを行うのだ。彼らを放置する行為は、日本の国益に間違いなく反している。

 ケント・ギルバート 米カリフォルニア州弁護士、タレント。1952年、米アイダホ州生まれ。71年に初来日。著書に『儒教に支配された中国人・韓国人の悲劇』(講談社+α新書)、『トランプ大統領が嗤う日本人の傾向と対策』(産経新聞出版)、『日本覚醒』(宝島社)など。