ボーイング、新型宇宙服を公開 宇宙旅行用のひな型に

ボーイング、新型宇宙服を公開 宇宙旅行用のひな型


 【コロラド=兼松雄一郎】米ボーイングは2日、新型の宇宙服、宇宙船に搭載する緊急脱出装置の仕組みを公開した。来年にも国際宇宙ステーション(ISS)への飛行に使われる予定。米国は2011年のスペースシャトル退役後はISSへの有人飛行はロシアの宇宙船「ソユーズ」に頼っている。米国第一を掲げるトランプ政権にとって米企業の有人飛行への再参入と関連製品の開発は優先課題となりそうだ。宇宙関連企業には追い風が吹いている。

 新型の宇宙服では、従来硬い素材を使っていたヘルメットの首の部分を繊維に代え、可動域を広げた。多くの接合部分にはジッパー、ワイヤ、ひだを使うデザインとし、たるみを少なくしてフィット感を出した。気圧の調整もしやすくなった。同製品を共同開発した米宇宙服メーカー、デービッド・クラークのトラビス・リップス氏は「軽さと動きやすさが大幅に向上した。これが宇宙旅行時代の標準デザインになる」と語った。

 また宇宙船の緊急脱出装置には、渓谷に張ったワイヤを滑空するアトラクション用の器具と同じ仕組みを採用。ワイヤで脱出しながら乗組員が速度を調整できるようにした。

 米航空宇宙局(NASA)の宇宙船の発注先としては、ボーイングに加え、米宇宙開発ベンチャー、スペースXも選ばれている。同社も独自の宇宙服の開発を進めている。