有事の円買い」なぜ起きる?東京株は乱高下、円は一時年初来高値に迫る
【シリア攻撃】
「有事の円買い」なぜ起きる? 東京株は乱高下、円は一時年初来高値に迫る
7日の東京市場では、米国がシリアを攻撃したことをめぐり日経平均株価が乱高下する展開となり、円相場は一時1ドル=110円14銭と年初来高値近くまで円高ドル安に振れた。その後は過度な警戒感が和らいで平均株価は反発して終了し、円高ドル安も一服した。ただ、北朝鮮情勢を含め地政学リスクが意識される中、今後もリスク回避姿勢が強まる恐れは拭えない。
平均株価は朝方に一時、前日比188円高まで上昇したが、米国のシリア攻撃が伝わると円高ドル安の進行に伴って急速に伸び悩み79円安まで沈んだ。ただ、現時点では米国の軍事行動が大規模化する可能性は低いとの見方から買い戻しが入り、一時170円高まで戻すなど、不安定な値動きだった。終値は67円57銭高の1万8664円63銭。
リスク回避姿勢が鮮明となった場面では、円とともに安全資産とされる日本国債や、実物資産の金にもマネーが集まった。長期金利の指標である新発10年物国債の終値利回りは0.045%と、終値として約1カ月ぶりの低水準だった。
「有事の円買い」が起きる背景はさまざま挙げられる。一つは、日本が経常黒字国で、日本の企業や個人などが海外に保有する資産から負債を差し引いた「対外純資産」が世界最大という点だ。三井住友アセットマネジメントの市川雅浩氏は「対外純資産が大きいほど、そこから得られる利益も大きくなり、日本に還流するときに円買い圧力となってくる」と指摘する。
こうした状況から、地政学リスクの高まりなどで市場が動揺すると、条件反射的に円が逃避先として選ばれやすくなるとみられる。