インターネット急速に進む中国 自動販売機も普及

インターネット急速に進む中国 自動販売機も普及 それまで敬



 インターネットを使ったサービスが、中国の日常生活で急速に浸透している。昨年、インターネット人口が7億人を突破し、通販や決済などのネットサービス利用者は都市部に限らず地方でも拡大。電子商取引最大手アリババグループなど中国発の大手ネット企業も増える。政府のネット規制で海外の有力企業との厳しい競争から守られることで、中国ネットサービスは独自の成長を遂げている。

 「便利なので、いつも携帯電話で買っている」
 北京市内の地下鉄駅で、通勤途中という女性がスマートフォン自動販売機にかざした。中国版LINE(ライン)と呼ばれる通信アプリ「微信」の支払い機能を使い飲み物を買うと、女性は足早に立ち去った。

 中国で自販機の普及が進んでいる。従来、中国では汚れた紙幣が多いため自販機の故障が頻発し、利用や設置が敬遠されてきた。だが、近年スマホのアプリを使った支払いへの対応が進むことなどで、利便性が向上して利用に弾みがついた。

 拡大する市場でトップシェアを握るのは日本企業の富士電機。同社はは、中国市場全体の自販機出荷台数は2015年度の約4万台から20年度に約34万台に伸びると予測する。

 ネットサービスの利用拡大で、中国の日常生活に変化が生じている。
 日本総合研究所によると、中国のネット人口は7億人を超え、全人口の50%を突破。流通網などインフラが未整備の地方でも、ネットサービスの利用が急伸している。

 これに伴いアリババのほか、配車サービスの滴滴出行など、欧米で主流のサービスを自前で提供する国内ネット企業も育つ。日本総研の北野健太副主任研究員は「中国ネット企業は圧倒的なスピード感で存在感を増している。海外留学を終えた若者による起業も目立つ」と指摘する。

 急拡大するネットサービスには経済成長の推進役として期待が掛かり、3月の全国人民代表大会でも推進方針が示された。李克強首相も「デジタル経済の急速な発展を促し、企業と大衆に広く利益をもたらす」と強調した。
 ただ、中国ネットサービスの成長は、政府の「保護」という側面がある。
 厳しいネット規制で、フェイスブックなど海外発の有力サービスを中国では利用できないからだ。政府は大手ネット企業の海外展開を期するが、規制で守られた中国式サービスが世界でどこまで戦えるか疑問が残る。(北京 三塚聖平)