日本の“海軍力”はアジア最強 海外メディアが評価する海自の実力とは
日本の“海軍力”はアジア最強 海外メディアが評価する海自の実力とは
昨今の日本の“海軍力”の強化が海外メディアの注目を集めている。その象徴の一つが「事実上の空母」との呼び声が高い、ヘリコプター搭載型護衛艦「いずも」だ。5月中旬から戦後最大規模の外洋遠征中 で、26、27日には中国の進出が著しい南シナ海で「航行の自由作戦」を実施した米海軍ミサイル駆逐艦「デューイ」と共同訓練を行った。3月には、この「いずも」と同型の「かが」が就役。これで一回り小さいヘリコプター搭載型護衛艦「ひゅうが」「いせ」と合わせ、“空母4隻体制”になり、「日本海軍はアジア最強」(米ナショナル・インタレスト誌)といった論調や分析記事が目立ってきている。
◆最新鋭空母4隻を保有?
英BBCは、英国国際戦略研究所(IISS)のアレクサンダー・ニール氏の分析を紹介。同氏は、6月2日から開催されるアジア太平洋地域の防衛問題を話し合う国際会議、「IISSアジア安全保障会議(シャングリラ会合)」に参加予定の有力な研究員だ。「いずも」は、5月15日に同じシンガポールで開催された国際観艦式に参加しており、その姿を目にしたニール氏は、「日本が第二次大戦後に建造した軍艦で最も大きく、(護衛艦というよりは)むしろ空母に見える」と表現する。
◆海上自衛隊は「アジア最強の海軍」
対中国の視点では、純粋な戦力としては、海上自衛隊が中国海軍を上回っているという見方が主流のようだ。ナショナル・インタレスト誌は、海上自衛隊の艦艇と人員の数、装備の性能、組織力のどれをとっても「アジア最強」だと指摘する。主要装備の性能や役割を詳しく説明したうえで、東日本大震災発生時の災害救助活動の実績を紹介し、海上自衛隊の展開力の高さも折り紙つきだとしている。ビジネス・スタンダード紙は、「そうりゅう」型8隻と「おやしお」型11隻を擁し、2021年までに23隻に拡大する予定の潜水艦戦力も、中国に脅威を与えるとしている。
また、南シナ海を経てシンガポール入りし、その後さらに南シナ海で「デューイ」との共同訓練を行った「いずも」の動きを、ニール氏は尖閣諸島など日本周辺海域での「中国の執拗な動き」への対抗策だと断言する。そして、「『いずも』は安倍政権下で進む日本の軍拡の象徴だ。それは、第二次大戦中の日本の強力な空母艦隊によってもたらされた痛みを強烈に思い出させるものだ」と、中国側の見方を代弁する。
◆防衛装備の海外移転で強化される防衛力
我々日本人の多くは、自衛隊の装備はかつての「武器輸出三原則」の制約などにより割高だという認識を持っている。しかし、ビジネス・スタンダード紙は、自国との比較において逆の見方をする。「川崎重工、三菱重工といった巨大企業を擁する日本の洗練された造船産業は、軍艦を迅速に安く作ることができる。そうりゅう型潜水艦は6億8500万ドルだが、これは半分以下のサイズのインドのスコルペヌ型潜水艦とほぼ同コストだ。排水量690トンのあわじ型掃海艦もたった1億6000万ドルで作っている」などと書く。