「先入観で死亡確認不十分」不搬送問題で報告書

「先入観で死亡確認不十分」不搬送問題で報告書

 大阪市消防局の救急隊が6月、自宅で倒れていた男性を誤って死亡と判断し、搬送しなかった問題について、市は18日、有識者の意見を踏まえた報告書を公表した。容体の状況から死亡しているとの先入観で複数の隊員による確認も行われなかったと指摘し、今後は死亡判断基準の確認の徹底に取り組むとしている。

 不搬送事案は6月2日に発生。救急隊が同市住吉区の70代男性の自宅に出動した際、呼吸や脈拍が確認できず死亡と判断したが、現場を引き継いだ警察官が生存に気づいた。その後、男性は脳疾患の手術を受けた後に回復した。


 報告書によると、通報内容や腐敗臭がする室内の状況などから、ベテランの救急隊員がすでに死亡していると判断。瞳孔や意識レベルなど、本来行う死亡判断基準の確認が不十分になった可能性があるとした。今後、チェックリストを用いた複数隊員による確認の徹底などについても検討を行うとしている。