劇的な米株反転、年金基金が四半期末の大規模調整で6.6兆円投下か

劇的な米株反転、年金基金が四半期末の大規模調整で6.6兆円投下か

Elena Popina
2018年12月29日 5:34 JST
27日の米株式相場は取引終盤プラスに転じ、日中安値からの回復の大きさが2010年以来最大となった。投資家らはこの急反転の解明に努めているが、少なくとも1人のアナリストは、12月に入ってからの急落を受けて年金基金が株式を大量に買い入れたためだと分析している。
  S&P500種株価指数は一時2.8%安まで下げた後、終盤にかけて大きく戻し、反転は8年ぶりの大きさとなった。この急激な方向転換は、今月600億ドル(約6兆6200億円)の株式購入資金を抱える年金基金が、四半期末を控えて持ち高を調整したことを反映した可能性があると、ウェルズ・ファーゴのプラビット・チンタウォンバニッチ氏は分析した。600億ドルというのは過去にあまり例を見ない規模だという。
  株式や債券を大量に保有する機関投資家は、四半期末に持ち高をリバランス調整する。チンタウォンバニッチ氏によれば、2009年以降で最悪の成績になりそうだった米国の大型株と小型株が今回は大きく買われ、350億ドルと210億ドルがそれぞれのインデックスに投下された。一方で株式を上回るパフォーマンスを見せた債券からは、資金が引き揚げられた。
  チンタウォンバニッチ氏は顧客リポートで、「600億ドルのリバランスは歴史的に見て大規模だが、その影響は流動性の低い市場環境によって増幅された可能性が高い」と分析。「売買の額が同じだとしても、通常より大きく相場を動かしている」と説明した。
  ただ、今回のような反発が繰り返される保証はないとチンタウォンバニッチ氏は指摘。他のトレーダーが素早くこれに便乗するからだと説明した。今では一日の終わりに行われるリバランス調整は広く知られてしまい、トレーダーは取引終盤の上昇時に高値で売り抜く狙いで、年金基金より先回りして買いを入れる可能性がある。大量の株式を放出しようとタイミングをうかがっていた投資家が、取引終了前の1時間に売却する可能性もある。