人気のプログラミング言語は 日経 xTECH独自調査 プログラミング言語実態調査(上)

人気のプログラミング言語は 日経 xTECH独自調査
プログラミング言語実態調査(上)

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2019/1/8 6:30
日経クロステック
 ソフトウエア開発で利用するプログラミング言語は移り変わりが激しい。では、今最も使われているプログラミング言語は何なのだろうか。日経 xTECH(クロステック)独自の「プログラミング言語実態調査 2018」の結果をみてみよう。
最近のシステム開発は、ウェブサービススマートフォンスマホ)アプリ、人工知能(AI)、データ分析など多岐にわたる。さらに特定用途向けの新たなプログラミング言語も登場しており、開発対象に応じた適切な言語を選ばなければならない。
しかし言語スキルの習得は一朝一夕にはいかない。また新しい言語を使いたくても、旧来のシステムを担当する場合は古くからあるプログラミング言語を利用せざるを得ないケースもある。つまりIT(情報技術)エンジニアは、時代や開発対象に応じて利用言語を増やしたり、場合によっては切り替えたりしなければならないわけだ。

では、現在ITエンジニアはどんなプログラミング言語を使っているのか。これを確かめるために、日経 xTECHは2018年10月に「プログラミング言語実態調査」をウェブサイト上で実施した。その結果、現場で使われているプログラミング言語がはっきりと浮かび上がった。

■利用言語1位はC/C++
アンケートではまず、普段使っているプログラミング言語を3つまで挙げてもらった。いわば、プログラミング言語の人気ランキングだ。その結果、利用言語の第1位は「C/C++」で、回答者1000人中326人が使っていた。
プログラミング言語の人気ランキング。現在使っているプログラミング言語を3つまで答えてもらった
プログラミング言語の人気ランキング。現在使っているプログラミング言語を3つまで答えてもらった
利用言語の第2位は「JavaScript」(312人)だった。JavaScriptは現在、ウェブシステムやウェブアプリのクライアント側(フロントエンド)開発に多用されるプログラミング言語だ。6位に「HTML/CSS」が入っていることから、最近のITエンジニアが開発するシステムは、何らかのウェブ技術が用いられていることが分かる。
利用言語の第3位は「C#」(231人)、4位は「Java」(228人)が続いた。これらのプログラミング言語は、業務システム開発に利用される定番言語だ。AI関連システムの開発言語として注目されている「Python」は5位(222人)に入った。2割強のITエンジニアが、既にPythonを利用している状況である。
上記は利用しているプログラミング言語を複数(3つまで)聞いた結果である。当然、いくつかの言語の中で、メインとして使っている言語がある。そこで次に、最も使っている言語を1つだけ挙げてもらった。
■メインの利用言語、順位が変動
現在主力として使っているプログラミング言語の第1位は、先ほどと同じ「C/C++」だった。その割合は18.6%である。しかし2位以降の順位には変動があった。第2位は「Java」(11.4%)、3位は「C#」(10.8%)だった。大規模なシステム開発プロジェクトが増えている現在、業務で最も使っているのは、いずれも定番言語のJavaとC#という状況だ。JavaとC#の割合はほぼ同じである。
これに対して複数回答で2位だった「JavaScript」は8位(5.2%)まで後退した。「HTML/CSS」(2.2%)については12位だ。これらのウェブ技術は業務で使っているものの、あくまでサブ言語として利用しているのが分かる。
あなたが最も使っているプログラミング言語は何ですか
あなたが最も使っているプログラミング言語は何ですか
注目したいのは、既に開発環境のサポートが切れている「Visual BasicVB.NET以外)」が5位(8.5%)に入った点だ。1990年代に大量に開発したVBの塩漬けシステムを、いまだに粛々と保守・運用している状況がうかがえる。
■用途によって細分化
システム対象によって利用言語はどう変わるのか。続いて、開発しているシステム別に、利用しているプログラミング言語を分析した。
その結果、用途によって利用言語の違いがはっきりと表れた。例えば業務システムの開発で最も使われている言語は「Java」だった。その割合は17.1%だ。第2位は「C#」で14.7%。両者を合わせると、全体の3割強に上っている。
組み込み系ソフトで最も使われている言語は「C/C++」だった。その割合は80.1%に達している。圧倒的なシェアが、利用言語の全体順位を押し上げたようだ。
開発しているシステム別に使用言語を集計した結果
開発しているシステム別に使用言語を集計した結果
ここ数年、開発が盛んなAI関連システムや、データ分析システムの利用言語はどうか。AIシステムでは、65.8%に上る回答者が「Python」を使っていた。またデータ分析システムでも、32.2%が「Python」を使っていると回答した。データ分析に強みを持つ言語「R」は8%にとどまっている。
■若手ほどPythonJavaScript
年齢別で利用言語に違いはあるのか。次に、メイン言語を年齢別にみてみよう。
すると、29歳以下の回答者は「Python」(15.4%)や「JavaScript」(13.5%)の利用が多いのが際立った。他の年代と明らかに異なる傾向である。
年齢別に使っている言語を集計した結果(20以上の回答があった言語のみ)
年齢別に使っている言語を集計した結果(20以上の回答があった言語のみ)
30代のITエンジニアが最も利用している言語は「Java」(22.7%)、第2位は「C#」(14.8%)だった。全ての年代を通じてJavaとC#は使われているが、30代の割合が最も高いのが特徴だ。

40代のITエンジニアが最も利用している言語は「C/C++」(16.7%)だった。次に「Java」(12.3%)が多い。50代のITエンジニアが最も利用している言語は「C/C++」(21.6%)。次に「Visual BasicVB.NET以外)」(12.3%)だった。50代のVB利用者が突出して多いのが目立っている。

調査概要
プログラミング言語実態調査」という名称で、ウェブサイトによるアンケート形式で実施した。調査期間は18年10月17日~10月31日。システムエンジニア(SE)やプログラマー、研究開発、ITアーキテクトなど、システム関連の仕事に従事している1000人から有効回答を得た。回答者の年齢は、20代以下が10.4%、30代が17.6%、40代が34.2%、50代が26.9%、60代以上が10.9%。職種は、経営層が3.4%、コンサルタントが2.7%、プロジェクトマネジャーが4.6%、ITアーキテクトが5.1%、SEが27%、プログラマーが16.6%、セールスが0.7%、システム運用/サポートが3.2%、研究開発が11%、Webデザイナーが0.3%、社内SE(システム部門)が8.4%、その他が17%。
(日経 xTECH/日経SYSTEMS 安藤正芳)