「王子様」改名、肇の一歩 18歳、キラキラネーム疑問

「王子様」改名、肇の一歩 18歳、キラキラネーム疑問

「王子様」から改名した赤池肇さん 「王子様」から改名した赤池肇さん

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 親に付けられた「王子様」から改名し、「肇」として新しい人生を歩む。山梨県に住む高校3年の赤池肇さん(18)。甲府家裁に改名を申し立て、今月5日に変更を許可されたことが12日、分かった。極めて個性的な「キラキラネーム」とも呼ばれる名について「本人が嫌なら行動できる。勇気を持ってほしい」と話し、これから親になる人々に「よく考えて」と訴える。
 元の名は「唯一無二の王子様のような存在」という母の思いが由来だが、「子どもの頃ならかわいいのかもしれないが、80歳になっても『王子様』というわけにはいかない」と疑問だった。
 改名を意識し始めたのは中学3年以降だ。カラオケなどの会員証作成で名前を記入するたびに店員が偽名と疑い、何度も確認。高校に入って自己紹介した時は女子生徒から噴き出すように笑われるのがショックだった。
 いじめの被害こそ受けなかったが、みじめな思いは蓄積していき、高校卒業後の新生活が始まるのを機に改名を決意。母は快く思わなかったが、父は「おまえの人生だ」と受け入れてくれた。
 新しい名に「はじめ」の読みを提案したのは知人の僧侶。「これまでの人生をリセットし、新たに始めていく」との意味が込められていた。漢字はマルクス経済学者の河上肇(1879~1946年)にちなんで自ら選んだ。恵まれない人々の目線に立つ姿勢に共感し、尊敬していたからだ。
 ツイッターで改名を公開すると、リツイート(転載)は10万件を超えた。似た境遇の人から相談も寄せられた。
 4月からは大学へ進み、福祉の勉強や趣味のバンド活動で学生生活を満喫するつもりだ。多くの人と出会って名乗る機会も増え、自己紹介も苦痛に感じなくなる。「これからが楽しみ」。新しい名の通り「はじめの一歩」を踏み出す春にする。