フッ化水素の韓国向け輸出許可 管理強化後初めて

フッ化水素の韓国向け輸出許可 管理強化後初めて

日韓対立
2019/8/30 0:20 (2019/8/30 10:51更新)
日本が輸出管理を厳格化した3品目はいずれも半導体製造に欠かせない(ソウル郊外のサムスン電子の半導体工場)
日本が輸出管理を厳格化した3品目はいずれも半導体製造に欠かせない(ソウル郊外のサムスン電子半導体工場)
韓国の産業通商資源省は30日、日本政府が7月から輸出管理を強化した韓国向けの半導体材料3品目のうち、半導体の洗浄に使う「フッ化水素」の輸出が許可されたと明らかにした。管理強化後、初めてとなる。日本からの供給停止が長引くと半導体を主力とする韓国のサムスン電子などに打撃となるほか、日本企業にとっても輸出が滞ることで、業績への影響が懸念されていた。
経済産業省は7月4日から、フッ化水素スマートフォン有機ELディスプレーに用いるフッ化ポリイミド半導体の基板に塗るレジスト(感光材)の3品目を対象に、輸出案件ごとに個別許可を求めるよう改めた。このうち、レジストについてはすでに韓国向け輸出の個別許可を出した。許可が出たのはフッ化水素が2品目となる。
韓国紙の中央日報は、フッ化水素の輸出許可を受けたのはステラケミファサムスン電子向け製品だと報じたが、ステラケミファの広報担当者は「30日朝の時点で経済産業省から通達は来ていない」と述べた。
高純度のフッ化水素半導体製造に欠かせず、日本メーカーが8~9割の世界シェアを握る。
フッ化水素の日本からの輸出量に占める韓国向け輸出は昨年まで7年連続で9割を超えた。ただ足元では管理強化の影響が出ている。財務省が29日に公表した品目別の貿易統計で、フッ化水素の韓国向け輸出量は7月に479トンと前年同月から82.4%減った。前月比でも83.6%減少した。
許可を取るための手続きは煩雑で、日本企業がこうした品目を今後、安定的に輸出できるかはなお不透明だ。材質や性能を示す資料のほか、兵器に使われる恐れが強いフッ化水素では納入先の韓国企業の調達実績、最終製品の生産状況を示す書類などの提出も必要だ。