オプション通信5-13 2010/ 8/18 10:06

第18回 -具体的な例・その1-

オプション取引について先週も述べましたが、分かり易い例を挙げて述べて
みましょう。これも先週、今週とテレビ東京の番組でも簡単に説明したのです
が、ここでテレビを見た方は復習として、見なかった方はオプションを良く理
解する上で見ておいてください。

先週の復習ですが、オプション取引は「あるものを」「ある時期までに」
「ある値段で」「売るまたは買う権利を」「売買すること」ということでした。
これはつまり目に見えるもの見えないもの、値段さえあれば何でもオプション
取引が行なえることになります。

例えば、薄型テレビがあったとします。このテレビが、今、45万円で売買さ
れているとします。そしてある人Aさんがこのテレビを年末までに45万円で買
う権利を5万円出して買ったとします。権利を買う、ということは売り手がい
ないといけないので、Aさんの買いに対しBさんが売ったとしましょう。
Bさんは別にテレビが余っているわけでも持っているわけでもなく、ただ、「こ
の先テレビは上がらないだろう」と思っているために「5万円もらえるのなら」
ということでAさんの申し出を受けたわけです。つまりAさんはBさんに
「5万円上げるから年末までにテレビを45万円で売ってください」と申し入れ、
それをBさんがOKした、ということなのです。そこでAさんはBさんに5万
円を支払い、年末までに薄型テレビを45万円という値段で手に入れる「権利」
を手に入れたのです。一方でBさんは元手をまったくかけずに5万円が手に入
ったのです。

そしてその後テレビの値段はどんどん上がり続けました。そこでAさんは手
に入れた「45万円でテレビを購入できる権利」を行使することになったのです。
その権利を期日までのいつでも行使できるもの(「アメリカンタイプ」と呼ば
れるオプション)と、期日の日だけに権利を行使することが出来るオプション
(「ヨーロピアンタイプ」と呼ばれるオプション)がありますが、日経平均
オプションなどは後者となっています。この例の場合も日経平均のオプション
と同様に「ヨーロピアンタイプ」と仮定すると、年末まで権利を行使すること
が出来ず、年末にテレビの値段が60万円になったときに権利を行使したとしま
しょう。

その際に実際には市場でテレビの値段が60万円しているので、Aさんに「テ
レビを45万円で売ってください」と言われたBさんは実際はテレビを持ってい
なかったので、自分のお金で市場から60万円でテレビを買い、それをAさんに
45万円で売ってあげることになったのです。ここで、Bさんは15万円の損をし
ますが、最初にAさんから5万円をもらっていたので、差し引きでは10万円の
損となったわけです。そしてAさんが市場で60万円で誰かにテレビを売ればA
さんは15万円儲かったことになるのです。ただ、AさんはBさんに最初にこの
権利を取得するために5万円払っているので、差し引きでは10万円の儲けにな
った、ということです。

上記の例を「薄型テレビ」ではなく「日経平均」で行なっているのが実際の
日経225オプション、という訳なのです。来週は今度はもし値段が下がっ
た場合はどうなるか、を見て行きたいと思います。