オプション通信5-17 2010/ 8/18 10:24

オプションの売買の手法は単純に売る、買うということばかりではなく、い
くつかのオプションを組み合わせて相場の動きに対処する方法などいくつかあ
ります。その中で、単純にコールオプションを売る、プットオプションを買う
ことだけではなく、日経平均先物などと組み合わせて投資をする方法を検証
して見ましょう。

株式などを保有している場合にその利益を確定したり、損失を軽減するため
の「プロテクティブ・プット」を言われる方法と「カバード・コール」と言わ
れる方法があります。

「プロテクティブ・プット」といわれるプットオプションを買うだけでなく
その元となっている原資産(ここでは「日経平均」がその原資産ですが、日経
平均の売買は直接出来ないので「日経平均先物」で代用)も同時に買うことで
もしその思惑と反対になったときにも損失が少なくて済む、と言う方法です。

具体的には例えば本日の午前中に日経平均がこの先も高くなるだろう、と思
って、前場の引値で日経平均先物(3月限)を17,230円で買ったとします。同
時に(実際には同時でなく、もっとタイミングを図って投資をしても良いので
すが)行使価格17,000円の日経平均プットオプションを195円で買ったとしま
す。そして、来週もし日経平均が18,000円まで上昇したとすると日経平均先物
はおそらく18,000円を超えて来るものと思われ、同時に195円で買ったプットオ
プションはおそらく50円くらいの価格になっているものと思われます。もちろ
んこの場合は先物を買っただけの方がプットオプションで損をしない分、儲け
が多いことになります。

逆に日経平均が16,500円程度まで下落した場合はどうでしょうか?日経平均
先物は730円の損になりますが、プットオプションは少なくとも500円の値段は
ついているはずで、おそらく700円~800円程度の値段がついているのではない
かと思われ、先物で大きく損をした分、プットオプションで取り返せたことに
なるのです。もちろん、コールオプションプットオプションの組み合わせで
もこうした取引は可能ですし、株式を多く保有している場合、特に日経平均
連動するような銘柄を多く保有している場合でもプットオプションを買って、
ヘッジ(リスク回避)をする、と言うことが出来るのです。

来週は今週の「プロテクティブ・プット」が実際に来週どうなったかを検証
し、「カバード・コール」の使い方についても検証して見ましょう。


先週は「プロテクティブ・プット」と言われる手法について話しましたが、
今週はまず、その検証から初めて見ようと思います。

先週の売買は17,230円で日経平均先物を買い、17,000円の行使価格のプット
オプションを195円で買ったわけです。それが今週は日経平均先物が上昇、本
前場終値が17,440円となり、手数料等を考慮しないと210円の上昇となり、
プットオプションは110円で同様に85円の値下がりとなりました。もちろん、日
経平均の先物だけを買っておいた方が儲かったことになりますが、日経平均
下落していればプットを買っておいた効果が得られたのかもしれません。

本日は同様に「カバード・コール」と言う手法を見てみましょう。保有して
いる日経平均先物が利益の出ているときにその利益を確保するようなときに使
われます。例えば先週の前場引け値(17,230円)で買った日経平均先物をま
保有しており、17,500円くらいで利益を確保したい場合、日経平均先物は保
有したまま行使価格17,500円のコールオプションを売るのです。本日の前場
引け値は225円であり、もし来週の月曜日に日経平均が大きく上昇し、18,000円
まで上昇したとすると日経平均先物は770円の利益が出ます。一方、コールオ
プションが700円までは上昇していたとすると、こちらでは475円の損失となり、
差し引き225円の儲けとなり、本日の引け値先物を売った場合の儲けである、
210円よりも多くなります。

逆に、日経平均が17,000円まで下がってしまった場合は、先物で230円の損、
となりますが、コールオプションはおそらく50円程度に下がっており、差し引
きで175円儲かっています。つまり、ポジション全体とすれば55円の損失で済ん
だと言うことになるのです。

ここまでしっかりと思惑通り上昇したのですが、ここから先は良くわからな
いので利益を確保したいときなどにも有効ではないかと思います。

これもまた、実際に来週どうなっているのか検証して見たいと思います。