韓国メディアによるDHC関連の報道について

韓国メディアによるDHC関連の報道について

2019年8月14日
視聴者の皆さまへ
DHCテレビジョン 代表取締役社長 山田晃

韓国メディアによるDHC関連の報道について
平素は、弊社制作・放送の番組をお楽しみくださり、誠にありがとうございます。
去る8月10日より数日間、韓国の放送局「JTBC」はじめ複数の韓国メディアによって、弊社製作の番組について、「嫌韓的」「歴史を歪曲している」などの批難報道が繰り返されている件、同時に、韓国内でDHC商品への不買運動が展開されている件につきまして、弊社の見解を申し上げます。

 弊社、株式会社DHCテレビジョンは、2015年、親会社である株式会社ディーエイチシーの提供を受け、「真相深入り! 虎ノ門ニュース」などのニュース解説・言論番組の配信を開始しました。配信開始から4年を経て、「虎ノ門ニュース」が、国内外から多くの視聴を得る番組に成長しましたことを大変ありがたく思うと共に、制作側の大きな励みとしております。

この放送事業は、平和な民主主義国・日本における、いっそう自由な言論空間を具現すべく、従来のメディア等が「タブー」としてきた事柄含め、多角的にニュースを論じることを旨としております。
当然のこととしまして、世界中の政治・経済、宗教など多岐にわたるトピックを扱う際、番組と出演者が、独自の見識、視点から、時折厳しく、内外の事象、人物へ批判を加える場面もあります。
 今般、韓国のメディアから弊社の番組内容に対し、「嫌韓的」「歴史を歪曲している」などの批難が寄せられていますが、弊社としましては、番組内のニュース解説の日韓関係に関する言説は、事実にもとづいたものや正当な批評であり、すべて自由な言論の範囲内と考えております。韓国のメディア各社におかれましては、弊社番組内容のどこがどう「嫌韓的」か、どこがどう「歴史を歪曲」しているのかを、印象論ではなく、事実を示し具体的に指摘いただけましたら幸いです。
 一方、番組内容と無関係なDHC商品について、韓国の誠信女子大学の徐敬徳教授を中心に、「#さよならDHC」なる不買運動が展開されていることは大変遺憾に存じます。
言うまでも有りませんが、韓国DHCが提供する商品やサービス、現地スタッフと、DHCテレビの番組内容とは直接何ら関係はありません。そうした常識を超えて、不買運動が展開されることは、「言論封殺」ではないかという恐れを禁じ得ません。
しかしながら、DHCグループは今後も、健全なビジネス環境の土壌となる「自由で公正、多様性を尊ぶ」社会の維持・発展に寄与すべく、自由な言論の場づくりを有意義と考え続けます。
その理念のもと、弊社DHCテレビジョンといたしましては、あらゆる圧力に屈することなく、自由な言論の空間をつくり守って参りたく存じます。

今後とも何卒倍旧のご支援をお願い申し上げます。

驚愕、韓国が北朝鮮に弾道ミサイル供与か

驚愕、韓国が北朝鮮弾道ミサイル供与か

中国やロシア製ではなく韓国陸軍も装備する米軍ATACMSに酷似

北朝鮮が8月10日に打ち上げたミサイルの映像を見る人。韓国の首都ソウルで(写真:AP/アフロ)
 北朝鮮は8月10日、新たな飛翔体を発射し、「もう一つの新しい兵器システム」を完成させたと公表した。
 韓国軍合同参謀本部は、北朝鮮が10日に短距離弾道ミサイル2発を発射したと発表。高度は約48キロ、飛翔距離は約400キロ、最大飛行速度はマッハ6.1以上で、ロシア製「イスカンデル」の北朝鮮版「KN23ミサイル」の可能性が高いと分析した。
 今回のミサイル発射の焦点は、「性能がどうか」というものではなく、米国製の兵器が北朝鮮に流れている可能性があるということだ。

1.8月10日のミサイル発射情報は、米韓軍事同盟関係を揺るがす

 なぜなら、朝鮮中央通信8月11日のミサイル発射の写真は、極めて衝撃的なものであった。
 北朝鮮が公表した写真のミサイルと韓国軍が分析し推測した「KN23ミサイル」とは、全く異なっていた。
 驚いたことに、北朝鮮が掲載したミサイルは、韓国陸軍も装備する米軍のATACMS(Army Tactical Missile System)に極めて類似しているのだ。
 ATACMSのミサイル部分は、韓国の固定サイロに入っている「玄武2号A」としても採用されているものだ。
 ということは、韓国か北朝鮮のどちらかが、嘘をついていることになる。
 もし、北朝鮮の映像が正しければ、韓国は嘘をついており、米軍から韓国に供与された兵器が北朝鮮に流れている可能性が出てくる。
 米韓軍事同盟関係を揺るがす大事件に発展する可能性が十分にある。一方、北朝鮮が嘘の情報を流しているのであれば、米韓軍事同盟を離間させるための情報工作ということになる。
左:北朝鮮が8月10日発射したとするミサイル 右:米軍のATACMS(出典)左:朝鮮中央通信8月11日、右:CSIS MISSILE THREAT


2.韓国の分析結果と北朝鮮公表は、どちらが正しいのか

 北朝鮮がこの日公開した写真が、どこからか持ってきた写真ではなく、本物の実射の映像であるならば、これまで、北朝鮮が公開したことのない戦術地対地ミサイルであり、これは、ATACMSに酷似している。
 このミサイルは韓国の玄武2A型にも似ている。
 最近、韓国軍合同参謀本部の発表には、「誤り」があったり、あるいは「文在寅政権の北朝鮮を刺激しないためのうそ」があったりもした。
 北朝鮮中央通信の情報写真には、時にはトリックがあったのも事実である。今回の場合、北朝鮮と韓国のどちらの主張が正しいのであろうか。
 韓国の弾道飛翔のデータ、特に弾道の飛翔距離と高度からは、韓国の分析が正しいと評価できる。
 韓国が公表している飛距離が400キロであれば、ATACMSの能力をはるかに超えている。
 だが、もし、本当に北朝鮮が米国製のATACMSを発射したとされるならば、この兵器は、韓国から流出したという可能性を疑われることになる。そのため、韓国としては、北朝鮮の情報を否定したいという心理が働くであろう。
 北朝鮮の立場で見てみれば、最近は、北朝鮮のミサイル発射の映像には、トリックが少ない。今、嘘情報を発信して、米韓同盟を引き裂くことが必要なのかどうかを考えると、嘘がばれた場合の北朝鮮の痛手の方が大きいと考える。
 とはいえ、韓国か北朝鮮のどちらかに、「うそ」か「誤り」が確実にある。

3.北朝鮮の主張が正しいのであれば、韓国に大きな問題が潜んでいる

 北朝鮮がATACMSに酷似のミサイルを発射したこととする。するとなぜ、韓国にある兵器が北朝鮮にあるのか。
 北朝鮮に米国製のミサイルそのもの、あるいは設計図が北朝鮮に流れた可能性があるということだ。
 北朝鮮のミサイルは、これまでロシアや中国の兵器や部品を使用していた。だが、今回のミサイルは、ロシアや中国には、類似したものも含め一切ないものだ。
 北朝鮮のこれまでの技術力から見て、北朝鮮が独自で開発したとは考えにくい。では、このミサイルがどこから北朝鮮に渡ったのであろうか。
 考えられるのは、①闇の兵器商人(死の商人とも呼ばれる)②韓国からの密輸の2つだ。
 北朝鮮が5月から7月にかけて発射した、「KN23ミサイル」が、韓国装備の玄武ⅡBに類似していることと考え合わせると、韓国から技術が漏れているか、渡されているかの可能性があると見るべきだろう。
 歴史上、旧ソ連(ロシア)や中国から北朝鮮に対して、兵器が供与されてきたのは事実である。今まで北朝鮮が開発してきたミサイルは、ロシアや中国兵器のコピーだ。
 だが、今回のものは、西側の兵器、米国製と類似している。北朝鮮の歴史始まって以来、初めてのことだ。
 どのように渡ったのかは、今のところ断定できない。今後の調査に期待したいところだが、今、一番の容疑者は韓国だ。
 もし韓国とすれば、米国の技術や兵器転用品が北朝鮮に渡っているということだ。今後も渡る可能性がある。

4.韓国の主張が正しいのであれば、北朝鮮の狙いは何か

 もし、北朝鮮が偽情報を発信しているとすれば、北朝鮮が、ATACMSを発射したように見せかけるということは、どういうことなのか。なぜ、そうする必要があるのかを考えてみたい。
理由その1:
 米国製のATACMSが、北朝鮮に流れているのであれば、韓国は、米国の信用を完全になくしてしまう。北朝鮮としては、米韓の同盟関係に楔を打つ、そして、在韓米軍を撤退させるために、偽の情報を流しているという可能性だ。
理由その2:
 北朝鮮は、韓国への最新鋭のステルス戦闘機「F-35」の導入を非難している。導入させたくないがために、今回のATACMSの射撃で、「F-35を韓国に渡すと、その技術は北朝鮮に漏れるぞ」と主張したのかもしれない。
 しかし、北朝鮮が、米朝関係を改善したいと考えている最中に、このような嘘をつく可能性は低いと考えるのが妥当であろう。

5.韓国から北朝鮮に重要な兵器が流れている可能性に備えよ

 今回の北朝鮮によるミサイル発射は、単に、短距離弾道ミサイルを発射したことではない。米国製のミサイルが北朝鮮に流れている可能性があることを考えなければならない。
 それが真実であれば、米韓の軍事関係には、大きな楔が打たれたことになる。そして、在韓米軍の撤退の可能性も出てくる。
 この情報は極めて重要な要素を含んでいる。どちらが正しいのか、米韓日の情報機関が総力を挙げて解明する必要がある。
 もう一つ、韓国から北朝鮮へ最新の軍事兵器やその技術が漏れることを憂慮しなければならない。
 米国のドナルド・トランプ大統領は、「短距離ミサイルであれば問題ない」と今回のミサイル発射についても静観する見通しだが、ATACMSに酷似のミサイル発射の写真を見れば、「問題ない」とは言ってはいられない。韓国への説明を求めるべきだろう。
 ロシアや中国は、米空軍のステルス戦闘機の技術を入手したがっている。もし、韓国からF-35ステルス戦闘機の技術が漏れることになれば、ATACMSどころではない。
 韓国から絶対に技術情報が漏れていないと確信できるまでは、韓国に兵器技術、F-35などの最新兵器を渡してはならない。
 どちらにしても、F-35を供与するのは、文在寅政権が代わってからすべきであろう。
 日韓のGSOMIAについて、廃棄されることなくそのまま継続していても、重要な情報交換は控えるべきである。

データが示す「恐怖の夏」 世界景気に収縮の予兆

[FT]データが示す「恐怖の夏」 世界景気に収縮の予兆

ラナ・フォルーハー
FT
FT commentators
2019/8/14 2:00
今は嵐の前の静けさとでもいうべきか。先週の市場の乱高下は、表向きは米中貿易摩擦が全面的な通貨戦争に発展したことがきっかけだとされる。だが本質的な原因は、米連邦準備理事会(FRB)が7月に実施した利下げの理由が、将来の景気減速に対する「保険」だということに、世間が納得しなかったからだ。米国、スペイン、イタリア、フランス、ドイツの購買担当者景気指数の低迷に企業の倒産件数の増加、米国のレイオフ(一時解雇)急増まで、今やいくつもの指標が示しているように、世界的な景気下降局面はすでに始まっている。
イラスト Matt Kenyon/Financial Times
イラスト Matt Kenyon/Financial Times
資産価格は紛れもなくこれを反映し始め、しかも、その時期は間近かもしれない。中国が人民元相場を安定させたことで、市場は一時的に落ち着いたかもしれない。しかし、我々は今、為替調査会社AGビセット・アソシエーツのウルフ・リンダール最高経営責任者(CEO)が言うところの「恐怖の夏」を迎えようとしている。同氏は、2018年1月から長期平均に回帰し始めたダウ平均が、10年続く弱気相場に発展するとみている。
■マイナス利回りの債券が全世界に14兆ドル
これは感情ではなくデータに基づく意見だ。過去をさかのぼっても、ダウ平均が現在のようにトレンドライン(傾向線)から130%以上乖離(かいり)した時期は、1906年以降、20カ月間しかない。その時期は恐ろしいことに、大恐慌が起きた29年、ITバブル崩壊前の99年、そして2018年近辺に集中している。「米国株は過去150年間で2番目の高値をつけている」とリンダール氏は言う。「株価が下がるのは必然だ」
筆者にとって、問題は暴落が起きるかどうかではなく、なぜ暴落がまだ起きていないかだ。実際、不安を募らせている市場参加者は大勢いる。マイナス利回りの債券が全世界に14兆ドル相当も存在することが何よりの証拠だ。大損に対するヘッジとして少しだけ損をする「安心感」にお金を払う意思がある人がこれほど多ければ、世界がかなりおかしい状態にあることは明白だ(完全に情報開示しておくと、筆者自身は現在、資産の大半を現預金のほか、短期の確定利付き資産と不動産に投資している)。
トゥキディデスの罠、現実に
より急激で持続的な調整がなぜまだ起きていないのか。先週まで、市場があえて3つの事象について目をつぶってきたためだ、と筆者はみている。
1つ目は、米中間の貿易協定は成立しないという事実だ。両国とも協定を切実に必要としているが、中国は対等な立場でなければ取引には応じない。ただ、トランプ米大統領心理的にこれを受け入れられない。過去の経歴をみると、トランプ氏は相手を一方的に倒せたと感じられる欲求を求め続けてきた。株価が下げるにつれて、この負けを認めない病的心理の傾向は激しくなる一方だろう。
誰もがしばらく前から、これを知っていた。だが、筆者のみるところ、トランプ氏が危険なことをやりかねないことへの不安は、大統領の予測不能な行動の結果、株価が下げるたびに買いに回るアルゴリズム売買プログラムによっていくばくか覆い隠されてきた。そのため、市場が持続不能であることを示す現状に対する継続的なシグナルがかき消されてしまった。
トランプ氏が中国を「為替操作国」に指定した後、中国は元安を容認した。これにより、米大統領がフェアに戦わずに強硬策に出ようとした場合、中国は米国市場を打ち倒し、どんな痛みをも受け入れる覚悟があることを示した。誰もが無視しがたい新しい現実だ。
端的に言うと、新興国が覇権国に挑戦するとき、折り合えずに戦争が起きる「トゥキディデスの罠(わな)」が現実に起きているのだ。米国の外交政策は20年の大統領選挙後に大きな変化があるどころの情勢ではない(なお、民主党の有力大統領候補は誰も対中政策をはっきり示していない)。米国と中国は現在、今後数十年続き、世界の経済と政治を塗り替える冷戦に入っているのだ。
■今以上の金融緩和策には無理
一方で、FRBの10年来の対策、つまり経済をお金であふれさせて市場を安心させ、正常化を期待する策は失敗した。そして次善策は存在しない。だからこそ、金の需要が旺盛になっている。一部のヘッジファンドが現金化への防衛策を備え始め、利回りが大幅なマイナス領域に入っている投資適格債をトレーダーが空売りして、過去10年間の米国株・米ドルへの資金流入が今にも反転しようとしているのもこれが要因だ。リンダール氏は、米ドルは今、ユーロに対して25%過大評価されていると考えている。
FRBは間違いなく、追加利下げによってこうした状況を取り繕おうとするだろう。だが、資産運用会社グラスキン・シェフのストラテジストのデービッド・ローゼンバーグ氏が指摘するように、「米国の民間部門は大量の債務で窒息寸前で、信用コストを引き下げても、需要の反応は大して起きないだろう」。また、同氏が最近書いたように、景気の引き締めは容易でも刺激は難しいことを示した「紐(ひも)を押す」という表現は元FRB議長のマリナー・エクルズ氏が生み出したものだ。FRBが金融政策の緩和で需要を生み出せない様子を描写するために1935年3月に使った言葉だ。
緩和策は当時もうまくいかなかったし、現在もうまくいかないだろう。債務の問題をさらに債務を積み上げて解決はできない。また、中央銀行が善意から、予測不能米大統領が引き起こした被害の打ち消しに必死になっているとしても、本物の成長を生み出すことはできない。中銀にできるのは、お金を回すことだけだ。どこかの時点で、市場と実体経済が収束しなければならない。
まさに今がそのときだと筆者は思っている。設備投資計画は延期され、住宅ローン金利が低いにもかかわらず、中古住宅の販売が減少している。そして、おそらく最も多くを物語るのは、グラスキン・シェフが指摘しているように、米国の消費者がクレジットカードの借入残高と自動車燃料の使用の両方を減らしていることだ。この2つの支出の削減はどんな時期であっても珍しく、ましてや休暇シーズンの最中には、めったにないことだ。まさしく恐怖の夏だ。
By Rana Foroohar
(2019年8月12日付 英フィナンシャル・タイムズ紙 https://www.ft.com/

(c) The Financial Times Limited 2019. All Rights Reserved. The Nikkei Inc. is solely responsible for providing this translated content and The Financial Times Limited does not accept any liability for the accuracy or quality of the translation.

原発事故の起きた福島で暮らすために

科学と文化のいまがわかる

STORY

原発事故の起きた福島で暮らすために

2019.08.09 : #原子力#原発事故
「できるだけ被ばくなんてしたくない。でも、ふるさとで暮らしたい」
 
原発事故からの8年間で、福島の人たちが、多かれ少なかれ感じてきたことです。
多くの地域で避難指示は解除されてきましたが、帰還しない住民の中には放射線が不安という人も少なくありません。
でも実は、日本には原発事故のあとに住民の被ばくをどの程度までに抑えるかという基準はないんです。ある意味、住民まかせにされているような状況です。
先日、そんな状況に一石を投じる文書が公表されました。できるだけ多くの人が、安心して暮らすためには何が必要なのでしょうか。

CRPが公表した新文書

公表されたのは「Update of ICRP Publications 109 and 111」という、耳慣れない名前の文書の改訂案です。原発事故の教訓を元に、事故が起きたあとの地域で暮らす住民の被ばくをどのように抑えていくか、新たな考え方をまとめています。
CRPの会議
CRPは、日本語で国際放射線防護委員会と呼ばれる、世界中の放射線の専門家で作る民間の組織です。あまり知られていませんが、民間組織とは言うものの、各国はICRPが出すさまざまな勧告を取り入れて、放射線に関する基準を整備していて、影響力はとても大きなものがあります。

1ミリと20ミリ

この文書について知る上で、覚えておいてほしい数字があります。「1ミリ」と「20ミリ」という数字、何の数字かピンときますか?見当もつかないという方もいるかもしれませんが、原発事故が起きた福島県では皮肉にもなじみ深くなってしまった数字です。

単位は、放射線の被ばく量を示す「シーベルト」です。「1ミリシーベルト」というのは、事故の前、通常私たちが暮らしていく上で、1年間に浴びても差し支えないという被ばく量です。国のさまざまな安全基準は、この1ミリシーベルトを超えないように決められています。

では「20ミリシーベルト」は?こちらは避難指示を解除する基準になっている数字です。その地域で暮らした場合の被ばく量が年間で20ミリシーベルトを下回ることが解除の要件のひとつになっています。

ちなみになぜ20ミリが基準かというと、改訂前のICRPの文書で、避難指示などを出す際の目安として示されていた100ミリから20ミリという範囲の下限を取っているのです。(事故直後でも、被ばく量は100ミリを超えないようにするというのが、ICRPの基本的な考え方)

事故後に被ばくを抑える目標は?

あれ?でもおかしいなと思った方もいますよね。20ミリを下回っても、すぐに平常時の基準である1ミリまで下げられるわけではありません。じゃあその間は何を基準にすればよいのでしょう。

そこで重要なのが先ほどの新文書。1ミリと20ミリの間で、被ばくを抑える目標値を決めるべきだと提言しているのです。そして、その目標値は「年間10ミリシーベルトを超える必要はないだろう」としています。

実は、改訂前の文書でも、目標値を定めることは推奨されていたのですが、そこでは1ミリから20ミリの下方部分のどこかとされていて、今回、より具体的に絞って改めて提言し直したのです。

福島への影響は?

CRPの推奨値と日本の基準
この提言は福島にとって、どんな影響があるのでしょうか?先ほども述べたように、日本には20ミリを下回ったあと、1ミリになるまでの間は、何の基準も目標もありません。

長期的には1ミリを目指すとしていますが、避難指示が解除された地域の中には、事故前より放射線量が高く、年間1ミリシーベルトを超えるような場所もあります。その場合、被ばくをここまでに抑えるという基準や目標がないと、戻りたくても不安を感じるという住民もいると思います。

CRPはこの目標値について、「10ミリを超える必要はないだろう」として、10ミリから1ミリの間で設定すべきと提言していて、日本の(福島の)状況に一石を投じた形です。

10ミリは高くないか?

ただ、目標とはいえ、福島で暮らしていても、年間10ミリシーベルトは高い気がします。

なぜ10ミリなのか。

その意味について、ICRPの委員を務める大分県立看護科学大学の甲斐倫明教授に話を聞きました。すると甲斐教授は、「ICRPは、10ミリを下回れば安全だと言っているわけではない」と言います。あくまで段階的に被ばく量を下げていくための出発点であり、目標を決めること自体に意味があるというのです。
大分県立看護科学大学 甲斐倫明 教授
「10を超えていなければいい、超えていたらダメという数値ではないということが一番大切な点だ。仮に10を目標にした場合、それを超えていれば、なぜそこは高いのか、下げるためにはどういう防護策をしていけばいいかを考えることが優先されるようになる。
防護策を講じた結果、多くの地域で10を超えなくなる状況になってくれば、さらに次の目標値は何だろうかという段階に移っていける。そのスタートとなる目標は、10ミリにこだわる必要はなく、場合によっては5ミリでもいい。
最終的には元に近い状態に近づけていくための、プロセスだということを理解してほしい」

行政や専門家が住民と考える

大分県立看護科学大学 甲斐倫明 教授
では、実際の目標値はどう決めたら良いのか。甲斐教授は、行政や放射線の専門家が、その地域で暮らす住民と一緒に考えていくことが重要だと話しました。
放射線にどのように向き合うのかということは、やはり専門家や行政がきちんと支援していかないといけない。
従来よりも、放射線量が少し高いレベルである場合、住民としては、そのレベルでいいのかということに当然なる。そこに暮らすのかどうかは、住民の1人1人が選択していかざるを得ないし、どこで生活をするのか、何で生きていくのかは、それぞれの価値観で変わってくるが、行政や専門家は、もっと対話をして、住民が何を求めているか考えなければ、なかなかできるだけ多くの人が納得できるような解決策につながらない。
この文書の中でも対話を通して、いろんな解決策を見つけていくしかないということは書いている」

日本でも必要?

CRPの提言を受けて、日本でも何らかの目標を作る必要があるのか。

実際には、避難指示が解除された地域の大半で、住民の被ばく量が年間1ミリシーベルトを十分下回るほどに放射線量が下がっています。いまさら1ミリを超えるような目標を作ることに意味があるのかと考えるのが自然だと思います。

しかし私は、福島にとって重要なある課題に向き合う上で、目標の議論は必要になるのではないかと考えています。それは、今も比較的放射線量が高く、立ち入りが厳しく制限されている帰還困難区域の解除をどうするかという課題です。

帰還困難区域ってどれくらい高いの?

帰還困難区域のモニタリングポスト
しかし、意外と知られていないのが、現在の帰還困難区域の放射線量がどのくらいなのかということです。

そこで、自分で調べてみることにしました。国が設置しているモニタリングポストの詳細なデータを取り寄せ、その場所で生活した場合の年間の被ばく線量を、国が使っている計算式を使って算出しました。
結果はグラフの通り。試算した45地点のうち、年間10ミリシーベルト以上に相当するのは18地点。この中には、20ミリシーベルトを超える場所も7か所ありました。一方、残りの27地点では10ミリシーベルトを下回りましたが、1ミリを下回る場所はありませんでした。

こうした地域では、避難指示を解除できたとしても、これまで解除された地域以上に、住民の不安は大きくなることが予想されます。

国はどうするつもりなのか

帰還困難区域と特定復興再生拠点区域
国は、来年3月までに帰還困難区域のごく一部を、先行的に解除し、その後特別に指定した「特定復興再生拠点区域」と呼ばれる地域(帰還困難区域全体の8.2%)について、除染やインフラ整備などを行って解除していく方針です。対象外の地域については、「長い年月がかかっても解除する決意」だとしています。

帰還困難区域の解除にむけて、被ばくを押さえる上での目標を検討するつもりはないのか。政府の原子力災害対策本部の事務局を務める、原子力被災者生活支援チームの野口康成参事官に尋ねましたが、「ICRPの文書は、改訂案がパブリックコメント中であり、何らかのコメントができる状況ではない」と回答を避けました。

一方で、帰還困難区域の解除に向けては、住民の不安に応える対応をしていくと述べました。
原子力被災者生活支援チーム 野口康成 参事官
「詳細な線量マップを示して、より詳しくそのあたりの線量状況がわかるようにしたり、線量の推計値で、この中で行動した場合はこのぐらいの線量になるということを、住民が理解できるようにしたい。なんらかの不安を感じている方は、しっかり誰かに相談できる、そうした態勢を町と一緒になって構築しているところだ」

福島はこれからだ

放射線をどう受け止めるかや、そこに住むかどうか、選択するのはもちろん住民自身です。ただ、そこで生活したいという住民に安心してもらうために、どこまで被ばくを抑えることが必要なのかは、行政や専門家が住民と一緒に考えていく責任があるのではないでしょうか。

私は、これまで5年間、福島で取材を続けてきましたが、原発事故とその影響への関心は年々薄れていくように感じていました。しかし、いまだに、何万人もの人がふるさとに帰れていない状況を、過去のものにするわけにはいかないと思います。その責任は、私たちメディアにも問われているのだと認識し、取材を続けていきたいと思います。
科学文化部
長谷川拓
平成26年入局。初任地の福島放送局では南相馬支局や福島県政を担当し、震災と原発事故からの復興や課題を取材。令和元年から科学文化部で原子力分野を担当。

日経平均・円ダービー 9月「緩和競争」に注目

日経平均・円ダービー 9月「緩和競争」に注目

2019/8/17 2:00
読者から相場予想を募る日経平均ダービーと円・ドルダービーの募集締め切りが8月31日に迫った。9月末の終値を予想する今回のポイントを専門家に聞いた。
まずは8月に入り一時1ドル=105円台をつけた為替相場が焦点となりそうだ。足元では世界的な金融市場の動揺を受け、円が買われやすくなっている。
9月は欧州中央銀行(ECB)が12日、米連邦準備理事会(FRB)が17~18日、日銀が18~19日に金融政策の決定会合を控える。みずほ証券の上野泰也氏は「中銀の緩和競争の行方」に注目する。ECBやFRBが利下げに動けば金利差の縮小により円高圧力がかかる。上野氏は「日銀が対抗できなければ、円高に拍車がかかる」と話す。
米中の経済対立の行方も気がかりな点だ。トランプ米大統領は対中制裁関税の第4弾を9月1日に発動すると宣言している。世界経済の一層の停滞も懸念される中で、上野氏は「米国の株式相場が高値を維持できれば、円高の圧力は弱くなる」と指摘する。上野氏は9月末の予想レンジを1ドル=104円~108円50銭としていた。
9月末の日経平均株価を予想するポイントは何か。マネックス証券の広木隆氏は8月に日経平均を構成する計225企業の時価総額が、純資産と等しくなるほど下落したことに着目する。一般に優良企業の時価総額は純資産を上回るとされる。広木氏は「割安な水準となった株を買う動きも出やすい状況だ」と話していた。広木氏は9月末の予想レンジを2万円~2万1800円としていた。
【9月末の予想を募集】
 日経平均と円・ドルダービーの予想締め切りは8月31日です。9月30日の日経平均株価終値と、東京外為市場の円・ドル相場(午後5時の終値、値幅の左側の数字)の予想をそれぞれ募集します。
 ★電子版からも応募できます。日経平均ダービー円・ドルダービーともに応募の締め切りは8月31日24時。はがきとの重複応募は無効です。
 ☆はがきの応募は8月31日消印有効。株価と為替の両方応募する場合は1枚ずつ必要になります。
 はがきの場合は、(1)9月末の日経平均株価(算用数字で円単位、銭は切り捨て)または円・ドル相場(1ドル=○○円○○銭)(2)予想の根拠(3)氏名(ふりがな)(4)電話番号(5)住所(6)年齢(生年月日)(7)職業――を書いてください。
 それぞれ1人1予想に限ります。複数応募や必要事項の記入漏れは失格になることがあります。
 宛先 〒100-8691 日本郵便(株)銀座郵便局 私書箱399号 日本経済新聞社 経済解説部 日経平均ダービー係または円・ドルダービー係
 入賞者には図書カードを進呈。1位は3万円、2位は2万円、3位は1万円、4位以下の入賞は5000円です。ピタリ賞もあります。

シンシナティ大学など、がん120年の謎「核小体肥大化」の仕組み解明

シンシナティ大学など、がん120年の謎「核小体肥大化」の仕組み解明

科学
シンシナティ大学(米国)・広島大学慶應義塾大学を核とした国際研究チームは、がんにより「核小体肥大化」が発生するのは、 増大するGTP(グアノシン三リン酸)エネルギーが原因であることを発見した。
更に、GTPエネルギーの産生を遮断すると、がんを抑制できることも明らかにした。
 
核小体とは、細胞の核の中にある、直径 1 〜 3 μm程度の「目」のような部位である。リボ核酸RNA)をつくっており、遺伝情報を伝えることにかかわっている。
1896年、多くのがんにおいて、核小体が肥大化することが発見された。しかし、その仕組みは今まで不明だった。
 
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ヒトの細胞の核、出典:Wikipedia
 
研究チームは、悪性脳腫瘍「神経膠芽腫(グリオブラストーマ)」のエネルギー産生経路を調べた。
最新の代謝解析技術は、悪性脳腫瘍において、GTP(グアノシン三リン酸)のエネルギーの産生が著しく増加していることを示した。
更に、このGTP産生増加は、がん細胞で、イノシン酸脱水素酵素(IMPDH)の量が増えることにより引き起こされることもわかった。
 
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グリオブラストーマを移植したマウスの核小体、(右)はIMPDH阻害剤を投与、原典:広島大学
 
研究チームは、マウスにグリオブラストーマを移植した。
IMPDH阻害剤を投与したマウスは、核小体は小さくなり、グリオブラストーマの増殖も抑制でき、延命した。
 
IMPDHの増加がGTPを増加させ、「核小体肥大化」が起きていることがわかった。
 
 
病気の有効な治療法を見つけるためには、その発生メカニズムを知ることが必要不可欠である。がんは、まだ不明なことが多いが、その一つは解明された。
今回の成果は、がんの新治療開発に繋がる可能性が十分にある。

◆◇地場者の立ち話~番外編~◇◆2019.08.17

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◆◇地場者の立ち話~番外編~◇◆
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T「今週も不安定な相場展開となり、日本株は3週連続の下落となった。」

M「ああ。今週もかなり波乱含みだったな。」

T「色々とあったしな。相場を揺り動かす要因が・・。」

M「ただ今週も反乱相場だったものの、日本株の底堅さも確認できた週でもある。」

T「それは言えるかもな。日経平均は再度2万円まで行かずに下げ渋る動き見せており、米国株の下落の割には強かった印象も受ける。」

M「日経平均PBR1倍の水準が2万200円程度と見られており、その辺になると買いが入るのか売りが出てこなくなるのか、やたらと底堅くなる。」

T「やはり市場でもPBR1倍水準は意識されているんだろう。」

M「かもな。ただ逆に言えば、それを本格的に割り込んでしまうとやっかいだけどな。」

T「今週の波乱要因は何と言っても、逆イールドだ。米10年債と2年債の利回りが約12年ぶりに逆転した。」

M「既に米10年債と3カ月債、6カ月債などでは、逆イールド発生していたが、ついに2年債とも逆イールド発生したことで、景気後退いわゆるリセッションが意識されてしまった。」

T「また同日に英国債でも10年債と2年債で逆イールド発生してしまっており、世界的な景気減速懸念が意識されてしまった。」

M「きっかけは、その日に発表された中国の工業生産などの経済指標が弱かったことや、独4-6月期GDPがマイナス成長となったことだ。ただその前から既に長期金利低下はかなり来ていた。」

T「ああ。米長期金利の下落に拍車が掛かってきたのは、やはり今月に入ってからだ。」

M「ああ。つまりトランプ大統領がいきなり対中関税第4弾を9月から発動すると表明してからだ。」

T「そうだよな。その表明をうけて、米長期金利の指標である10年債利回りは2%を再び割り込んできたんだ。」

M「今週には1.5%割れとなる場面もあった。」

T「トランプ大統領は逆イールド発生をうけて、FRBのせいにしているが、明らかに自分のせいだろう。」

M「そうだな。FRBによる金融政策で2年債利回りなど短期金利は大きく影響をうけるが、今の2年債利回りは、今後の複数の利下げを完全に織り込んでいる水準だ。」

T「FRBが更に緩和姿勢を強めれば、確かに2年債利回りは更に低下し、逆イールドは発生しにくくなるが・・。」

M「確かにそうだが、今回の逆イールドはやはり10年債利回りの急低下が影響しているといえ、その要因は対中関税第4弾発動表明なのは間違いない。」

T「まあトランプ大統領にいわせれば、もっとFRBはフォローしろと言うことなんだろうけどな。」

M「そういうことだろう。トランプ大統領も対中強硬姿勢は崩すわけに行かない面もあるからな。」

T「確かにトランプ大統領の対中強硬姿勢は幅広い層から支持されている。来年の大統領選のためにも、その姿勢は崩せない。」

M「かとって強硬すぎて、米国株の下落や、米経済に悪影響が出てきてしまっても、困るわけだ。それはそれでトランプ大統領の批難に繋がるからな。」

T「だからFRBがフォローしろと言うことなんだろう。中国に対しての強気姿勢は崩せないが、米株や米経済に出来るだけ悪影響及ばぬよう、FRBが何とかしろと・・。」

M「それがまだまだ足りないと言いたいんだろうな。トランプ大統領は。」

T「ただ今週、対中関税第4弾の発動を一部製品は12月に延期すると発表した。」

M「米国の年末商戦への悪影響に配慮したとのことだが、タイミング悪かったな。」

T「確かに・・。逆イールド発生の前日だからな。」

M「それに裏を返せば、残りの製品は9月発動が濃厚になったと言う見方も出来る。」

T「なるほど。市場では対中関税第4弾が延期されるという期待を抱く向きも多かったと言える。」

M「まあ今までのトランプ大統領の行動からも、市場が混乱してきて波乱相場になってくると、緩和姿勢を示すということは何度もあった。それだけに対中関税第4弾も最後の最後で延期という見方も少なくなかった。」

T「実際にそうなったんだが、一部の製品にとどまるということから、期待していた向きにしてみれば拍子抜けという感じか。」

M「ただまだ分からないけどな。残りの製品に関しても、最後の最後で延期という可能性も少なからずあるかも知れない。」

T「でもそれをするなら、最初から全部を延期とするんじゃないのか。」

M「とにかくトランプ大統領は株価をえらい気にしているのは確かだ。このまま米国株落ち着いてくれれば良いが、波乱状態がまだ続くようだと、何らかの緩和的な発言をしてくる期待はあるだろう。」

T「でもいい加減にそういったアメとムチ的なトランプ大統領の手法は利かなくなる恐れもありそうだけどな。」

M「確かに市場も呆れている。わずか2週間前に表明した対中関税第4弾を一部とはいえ、変えてきたんだからな。」

T「そもそも対中関税第4弾発動表明もいきなりだもんな。6月末には米中首脳会談で当面見送ることで合意したにもかかわらず、僅か1カ月でその合意を破棄して発動表明だ。」

M「そりゃ中国が合意違反だと怒るのも無理はない。」

T「しかもその間、1回しか閣僚級の米中通商協議を行っていない。」

M「そうだな。それに対中関税第4弾発動表明には、ライトハイザーUSTR代表やムニューシン財務長官など殆どの取り巻きが反対したようだしな。」

T「ああ。中国は対抗措置の可能性も示唆しており、米中摩擦問題はまだまだヤバイ状況だ。」

M「9月の対中関税第4弾発動まであと2週間。その2週間でどういう展開になっていくのか注目される。」

T「残りの製品も延期するのか、それとも強行的に発動するのか・・・。またそれをうけ中国の行動も注目される。」

M「取りあえず来週はジャクソンホールだな。パウエルFRB議長の講演が注目される。」

T「ああ。今週発生した逆イールドや、トランプ大統領によるFRB批判をうけて、パウエルFRB議長がどういった発言をするのか注目される。」

M「トランプ大統領をフォローするような姿勢を示すのか注目だな。大胆な金融緩和の可能性を示唆するとか・・。」

T「とにかく今の市場心理を良い方向に変えて欲しいモンだ。そのきっかけになれば良いのだが・・。」

M「そうだな。期待したいモンだ。」